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(9) 5歳のクリスティーナ

王室図書館に通い始めた頃のクリスティーナの私は、

とにかく必死だった。


身体は幼女だが、心は既に34歳。

自分にこの世界での知識が無いことが段々と恐ろしくなり、

早くこの国や自分の身の回りの事を知りたかった。


言葉や文字を必死に覚えた。

屋敷の書庫や王宮図書館の本を読みまくった。

一年経つと大人レベルの知識を得て、

周辺の主要国二ヶ国の言葉も覚えた。

お父様に頼んで二ヶ国語の会話が出来る家庭教師を雇ってもらい、

5歳になると簡単な日常会話なら出来るようになった。


この王宮図書館でこの国の成り立ち、政治経済、法律、近隣諸国との関係、貴族社会の在り方やマナー、男女や大人子供や貴族と平民の格差、国民の趣味嗜好や時事問題等々、密かに調べまくった。


お陰様でかなりの知識を吸収した!


令和の世なら、

ご近所からは神童と呼ばれただろう。


更にこの世界に今まで転生して来たような人物がいないかも調べてみた。

残念ながらそれに繋がる記述は見当たらなかった。


もうどうしようもない。

改めてこの世界で生きる決心をした。



思っていた以上に酷い、格差まる出し社会のこの世界では、

貴族女性が働くなんて皆無だった。

令和元年の日本企業で秘書をしていた私は、

此処ブラーム国では働く事を諦めた。


実家と、いつか嫁ぐであろう将来の家の為に、

結婚生活を失敗せず完遂することを生きる目標にした。


必死に得た知識は目立たず静かに自分自身の中だけで使い、

姿形だけ良くてあまり立ち回りが上手くない優しい父が率いる実家と、私の将来の夫や嫁ぎ先のために役立てることが出来れば僥倖!と思っていた。

…………のに。


最重要事項は、

この事を誰にもバレないようにすること…………だったのに。



やっちまった、私。


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