(89)恐ろしい場所 ★王宮
※この回からクリス視点に戻ります!
どうぞよろしくお願いいたします。
非常にマズい。
めちゃくちゃ居心地が良い。
王宮って本当に恐ろしい場所だ。
食事はそれはもう、どれもこれも間違い無く美味しい!
人も何もかも全てが超一流!
王宮図書館には歩いてすぐ着いて何時間いても良い!
サロンの素晴らしいピアノも引き放題!
素晴らしい庭の片隅にある東屋で、嫌がるメイドのメリーナと強制的にお茶していたら、偶然通り掛かったリー様と仰る焦げ茶色の髪のとても美しい女性にマキシム語で話し掛けられて、つい話が弾んで三人でお茶をしながら気が付いたら一時間が経っていた!
女子トークはやっぱり楽しい。
メリーナがマキシム語を話せるのには驚いた。
さすが王宮に勤めるメイドはレベルが高い!
リー様とはまたお茶をする約束したけど、連絡先を知らないから連絡を取りようが無い。
素敵な方だったのに!残念!
入りたくても絶対に無理だった、王家の美術品が見られる部屋にサイファー王太子殿下の裁量で一時間だけ入らせて頂いた!
5人の厳つい騎士がずっと一緒だったけど、美術品を説明してくださる館長さんみたいなお爺様のダレイル様がこれまた説明上手で、豆知識を沢山教えてくださった!
ダレイル様はバルマン語が大変お上手で、久し振りにアルフォンス様のお母様の亡きカトリーヌ様を思い出し、少し涙ぐみながらバルマン語でお話した。
ダレイル様は何度も頷きながら慰めてくださった。
とても貴重な時間だった。
難点と言えば、客室が豪華過ぎて落ち着かない事と、泊まらせて頂いているのに冷や汗が出そうな程豪華なドレスやアクセサリーをお貸しくださる事が本当に困った。
それでもベッドの寝心地は最高で、お気に入りだった。
このまま王宮でこの暮らしに慣れてしまったら本当に恐ろしい。
誠にヤバイことになる。
一刻も早く帰らなければ!………なのに。




