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(84)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(35)


驚愕と怒りで、全身に雷が堕ちたような衝撃を受けた。

我を失い、危うくサイを斬りそうになった。



目の前の悪夢の様な光景は何だ。

何故、自分のクリスがサイに抱きしめられている?



憎悪の気持ちを力尽くで抑え、サイに話し掛けた。




『………殿下』

『んー、ああ、アル?』

『………これは、どういう事ですか』

『うん。この可愛いお姫さまが起きちゃうから静かにしてね』

『………私がお連れします』

『いいよ。僕が連れていくから。

僕の部屋から一番近い客間を準備するように伝えて』

『っ!?』

『アル?どうしたの?早く、頼むよ』

『………』

『あと、ラファイエリ伯爵にも伝えて』

『………承知しました』

『ん………』

『っ!』

『くすっ。本当に可愛い……妖精みたいだ。

眠っているからわからないかもしれないけれど、

このお姫さま、瞼がパンパンに腫れるくらい泣いていたんだよ』

『っ!?』

『僕の胸の中で子供のように泣きじゃくって……。

何があったのかは知らないけれど、僕が護ってあげたくなったんだ』

『サイっ!』

『しっ!大きな声を出したらお姫さまが起きちゃうよ。

アル、じゃあ、ラファイエリ伯爵に必ず伝えてね。

今夜はこっちで預かるからって。

ああ、やっぱり三日間くらいは王宮にいてもらおうかな』

『っ!………』

『あと、リリアンヌ王女とは仲良くやってよ?我が国のためにも』

『…………』

『じゃ、王子様はお姫さまを部屋までお連れするよ』




クリスが瞼が腫れる程泣いていた?

サイの胸で子供の様に泣きじゃくった?

クリスがサイの部屋近くの客間に三日間も滞在だと?



隠していたのに!!

サイにクリスを知られてしまった。



わかっていた。

クリスに会ったら、サイは必ずクリスを気に入ることを。


眩しいほどの美しさを持ち、聡明で溢れる知識を惜し気もなく使い平民の暮らしにも心を寄り添わす。

人前では慎ましやかだか、一度心を開くと明るく陽気でかなり元気な少女。


サイが気に入らない訳が無かった。

クリスを大切に抱きしめるあの姿は間違い無い。


まだ14歳で社交界のデビュー前だからと油断していた。


まさか、クリスと自分の大切な場所で二人が出会うなんて。




嫉妬と怒り、焦りで身体が震えた。


クリスを横抱きにして去る、サイの後ろ姿を睨み据えた。




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