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(81)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(32)


「アルフォンス様ーっ!!」

「!………」

「ジョアンナお姉様!?」

「アルフォンス様っ!こんなところにいらっしゃったのですね!随分お探ししたんですのよ!」



リリアンヌ王女と庭を散策している時に自分の名を叫びながら走って来たのは、ジョアンナ王女だった。

この赤毛の王女が少し厄介だった。


ふんわりとした黄色のドレスを着て小走りに走って来たジョアンナ王女は、自分の腕に手を伸ばし腕を組もうとしたが、自分は然り気無く(さりげなく)避けた。

少しよろめいていたが、これぐらいなら(つまず)かないであろう。


自分に避けられ、キッと睨み付けてきたジョアンナ王女を上から冷たく見下ろす。

はっと我に返ったジョアンナ王女は、眉毛の端を下げ甘えた声で訴えかけてきた。



「もう!アルフォンス様ったら酷いですわ!お越しになられてるのなら、何故私にも会ってくださらないのですか?城に着いたら私にも声を掛けて下さるようにいつもお願いしていますのに!」

「何故?」

「えっ!?な、何故、って……」



腐っても第一王女だと、今までは余り強く言って来なかったが、この辺りで立場をはっきりさせる必要があった。



「私はリリアンヌ王女の婚約者です。お間違えのないように」

「なっ!アルフォンス様っ」

「アルフォンス様……」

「あ、あんな地味で人前を嫌う妹より、私の方がアルフォンス様のお力になれますわ。華やかな私なら、大国ブラーム国の社交界でもきっとお役に立てます!だから私と改めて縁組を」

「あり得ません」

「っ!何故ですのっ!?リリアンヌとはまだ、ただの婚約ではありませんか!婚約なら解消する事なんて簡単ですわ!」

「ただの婚約ですが、この意味をお分かりか?ジョアンナ王女」

「えっ?」

「この婚約は貴国と我が国の国王陛下同士のお考えで既に決まった事。貴女は両国王陛下の御意向を否定し愚弄するおつもりか?」



敵を見るように睨み、低く冷たい声で問い尋ねると、ジョアンナ王女は小さく震えながらその場で立ち竦んだ。



「あ、あの、わ、わたくし……」

「………外はかなり寒くなってきました。ジョアンナ王女、風邪など引かれないようにお身体を(いたわ)らないといけないのではありませんか?」



じっとジョアンナ王女を見据えた。

妊娠がバレていると慌てたのか、ジョアンナ王女は狼狽(うろた)え出した。



「えっ!?あっ、あの………」

「………この季節は皆、油断をして風邪を引きやすいですから。

リリアンヌ王女、そろそろ城に戻りましょう。では、ジョアンナ王女。失礼いたします」



両手でドレスを掴み、立ち竦んだままのジョアンナ王女を置き去りにし、自分はリリアンヌ王女をエスコートして城に向かった。


後ろで大きな金切り声が聞こえたが、素知らぬ振りをした。







明けましておめでとうございます。

皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


大変なご時世ですが、少しでも皆様に楽しいと思って頂けるように頑張ります。


拙作で不定期更新にもかかわらずお読みくださって本当にありがとうございます。

一日のアクセス数が初めて5000を超えて、ブックマークも評価ポイントも増えていてめちゃくちゃ驚いております。

感謝の気持ちでいっぱいです。

本当にありがとうございます!!

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