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(76)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(27)


されど、ここで縁組を受けると、内政に口を出してくる恐れがある。


長年侵略で国を拡大してきたズフタス共和国はまだ信用に値しない。

兵力の弱いマキシム国はズフタス共和国に取り込まれる危険性があった。


しかし、ここで理由無く断るとプライドが高く短気な性格であるザイール国王は馬鹿にされた等と難癖を付け、その勢いで攻めてくる可能性があった。

数年前そのやり方で、とある小国が侵略されグスタフ共和国に取り込まれた。

戦い慣れているグスタフ共和国の方に勝算はある。


そこで、大陸一番の強国である我がブラーム国と既に縁組があれば、角も経たずに断りやすい。

次期公爵の自分が相手なら申し分無く、ジョアンナ王女もかなり乗り気であり、いつも控え目なリリアンヌ王女も今回の縁組には私がお受けしたいと珍しく強く要望したらしい。



『あの、大人しく殆ど自分の希望など言わないリリアンヌが、ロッシュ子爵殿の縁組には是非にと自ら声を上げた。私は是非、リリアンヌとの縁組を勧めたい。だ、だが、ロッシュ子爵殿がジョアンナの方を気に入ったならもちろんそちらで構わない』



シン国王からとにかく急ぎ形だけでも、どちらか気に入った王女と婚約をと、切迫感のこもった表情で頼まれた。

シン国王はまだ少し目が泳いでいる。



陛下は腕を組み、目を瞑ったまま押し黙っている。


自分はシン国王に、他に考えておられる事がおありではないかと話の先を促した。



シン国王は傍に控えるルベルテ宰相に何度かちらちらと目を向けた後、大量の汗をかきながら『婚約は様子を見て、時期が来たら解消する。交換条件として、原油や石炭、更に鉄鉱石の輸入量をそれぞれ昨年の1.5倍にし、関税を下げる』という提案を出した。



この言葉が重要であった。



ゆっくりと目を開けた陛下は、自分の目を見た。





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