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(68)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(19)


騎士団は早急に辞めなければならなくなった。


いつしか自分は、血気盛んな男ばかりの環境を気に入っていた。

騎士として国王陛下を、国民を、クリスを護ることに誇りを持っていた。


団長に退団の報告をし、苦楽を共にした仲間の団員から惜しまれ、更に孤独感が増す。

それでも、自分は前を向かなくてはならない。

自分はフレデリーグ公爵家に仕えてくれる者達や、領民の生活を守らなくてはない。


何よりも、クリスとの将来を必ず護らなくてはならなかった。




クリスに会いたくてもやるべき事が多過ぎて、全く時間が取れなかった。

途中で何度も発狂しそうになった。


両親の葬儀からまだそう時間は経っていないが、縁談の依頼が途切れること無く来る。

相手方の非常識さと汚い思惑に辟易し、余計に苛立った。


苛々しながら書斎で書類と格闘していると、執事のサムが何処からか持って来たクリスの小さな肖像画を、丸二日湯浴みもしていない自分の目の前に静かに置いた。


反射的に肖像画を掴み見入った。

まだ出会った頃の幼い少女の姿だが、

間違いなくクリスだった。


喉の辺りがぐっと熱くなり暫く言葉を発せず、ただただ食い入るように見つめた。


サムに『ご当主様。一日も早くクリスティーナ様にゆっくりお会い出来ますよう、兎に角今はこの書類の山を片付けて参りましょう』と静かに言われ、心の中でベテランの執事の手腕に感嘆しながら、再び山積みの書類に向かった。


このクリスの肖像画が無かったら、自分はこの短期間の内に、公爵として周りから認められる事は無かっただろう。



やっと、待ち焦がれた半年振りのクリスとの逢瀬の日。


自分はクリスに言葉で突き放された。





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