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(65)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(16)


意見交換会で聞いたクリスの案の中でも、なるべく早急に実行するべき事案は特に急いで動いた。

干し柿の様に公爵家内で実行出来る案は父に相談し、即実行した。

国で行うべき事案は、父に相談した後に国王陛下にお伝えした。

陛下に直接伝えると、やはり話が早かった。


陛下は信頼の置ける担当の大臣と役人に会わせてくださり、詳細を話すと大いに賛同してくれたその方々が先頭に立って事案を進めた。


その結果、国中に設置した平民も利用できる『自由図書館』や、

その本を読むための字や、クリスが教えてくれた九九の計算を学べる『自由教室』を国中に整備した。

クリスの願い通り、全て国費で賄い無料だ。

教える教師も国費で雇い、雇用にも繋がった。



図書館も教室も『自由』を付けた名称は、クリスの言葉から提案し採用された。

それを知ったクリスは照れながらもとても喜んでいた。

すぐその場で連れて帰りたいくらいに可愛かった。



『自由図書館』と『自由教室』の結果は目に見えて出た。

三年後には国民の識字率はかなり向上し、

九九で計算力が上がり正しい取引が行われるようになった。


クリスが歌を歌うように唱える九九を聞いた時は、本当に驚いた。

我が国では指を使って掛け算をするのが普通だった。

九九を覚えると暗算で瞬時に答えが出る。


更に良い事に、本を読むようになった農民達が、

色々な作物の作り方を自ら学び改良し、収穫品種の数や収穫量も年々増えていった。


他にも街の歩道と馬車道の境に低い花壇を置き道を分ける事や、

水の整備、井戸の掘削、温泉の利用、病院や孤児院の整備、大きくなった孤児や女性の働く場の整備、ごみの再生利用等々、多くのクリスの発案を実現した。


溢れ出るクリスの素晴らしい発案には、本当に何度も驚かされた。



国王陛下からは提案した自分が誉め称えられるが、この全ての提案は自分の発案では無く、色々な人物から聞いたものだと毎回誤魔化し説明した。


今、クリスの存在を知られる訳にはいかない。


自分がクリスを完全に手に入れるまでは、

秘密裏にしておく必要があった。






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