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(63)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(14)


その夜から、クリスは我が家に泊まった。


母にほぼ泣き落としに近い説得をされて、クリスが断れる訳が無い。

結局、一週間泊まった。


父も母も同席だったが、夕食は必ず一緒に食べた。

騎士団の任務が終わると着替えもせずに急いで帰路に着いた。


必死に時間を作り、サロンや庭でクリスと意見交換会を行った。

公爵家の広大な庭の隅に生っている大量の柿を見つけたクリスは興奮し、落ちて自然と肥料になるか野鳥の餌になるのみであった渋い柿を、熱湯で煮沸後に干して食べると良いと言い、三週間後に見事に甘い干し柿なるものを食べて驚いた。

日持ちもするため、騎士団の遠征時に菓子として団員に持たせると皆喜び、腹持ちも良く栄養価も高いらしく冬に風邪等で体調を崩す者が減った。


干し柿の美味しさが騎士団員の口伝てで広まり、売って欲しいとの希望があり採算が取れる程度の安価で販売した。

そこから毎年柿の木が多くある公爵領で大量に作るようになり、柿の木のある各地方にも作り方を伝授して干し柿はブラーム国の特産物の一つになった。


また、クリスの案でケーキやクッキーに入れても美味しいと言われ、早速公爵家のパティシエ達が作りこれも大好評だった。

干し柿の販売が思わぬ利益が出し雇用も生まれた。

廃棄するだけだったものが一つの新しい産業になった。

これはその一つに過ぎなかった。


クリスは我が家、更には我が国にとって素晴らしい幸をもたらす天使だ。


屋敷にはその愛しい天使が待っている。

正に至福の一週間だった。






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