(6) アルフォンス・デ・フレデリーグ公爵
アルフォンス・デ・フレデリーグ様は、
22歳の若さで現フレデリーグ公爵様だ。
私より6歳年上で王族に連なる公爵家を一人で背負うなんて、恐ろし過ぎる。
重責だ。
アルフォンス様の御両親の前公爵夫妻は、
二年前、領地視察の途中で不慮の馬車事故により亡くなられた。
豪雨により決壊した河川の復旧作業視察中に起こった、
悲しくも痛ましい事故だった。
一人息子のアルフォンス様は失意の中御両親の遺志を継ぎ、
自身の領地のみならず、国内の治水や道路整備にも尽力されている素晴らしい御方だ。
黒目黒髪の見目麗しい超絶美青年で、
急遽公爵を継がれる以前は騎士団に所属されていた。
かなり背が高くて、服の上からもわかるなかなか良い筋肉をお持ちだ。
そんな高物件なアルフォンス様を周りの御令嬢達がほおっておく訳もなく、物凄いモテようだ。
サイファー王太子殿下と並ぶと神がかっているお二人の美しさに目が痛い。
私がお二人の美しさの邪魔をしてしまっている。
これはいけない。早く退かなくては。
因みに私は桐生里奈の頃から癒し系男子が好きだ。
イケメンには良い思い出が全く無い。
『里奈は大丈夫だから』と言って、
3年間付き合ったイケメンな彼氏にいきなり振られた。
私は大丈夫って、何だ。
迷惑を掛けるのが嫌で、
彼が仕事で忙しそうな時は会いたくても我慢した。
反対にこっちが繁忙期で大変な時に会いたいと言われたら、
仕事を無理矢理切り上げてでも会いに行った。
ヤツは3年も付き合っていながら、
私の事を何にも分かってなかった。
大丈夫だからと断定されて振られた。
結局、私は都合の良い女だったんだろう。
あれは本当に最悪な黒歴史だ。