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(56)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(7)
頬を膨らませて、ムスッとして怒っている。
赤い小さな果実の様な唇を尖らせて、可愛い……。
凄く可愛い。
真っ白で柔らかそうな頬を触りたい。
生意気に自分を睨む、その美しい碧色の目をもっと近くで見たい。
更に身体全体が熱くなり、
自分でも顔まで赤くなっているのが分かった。
顔が赤くなるのも、
こんな気持ちになるのも生まれて初めてだった。
自由にころころと変わる表情も仕草も、
見た目の美しさも、
持っている知識も思考も。
少女の持つ全てが愛らしくて仕方がない。
………食べてしまいたいくらいに。
今思えば、一目惚れだったんだろう。
話せば話すほど目の前の少女にのめり込んでいく自分がいた。
この状況に何の違和感も持たなかった。
寧ろもっと、この少女のそばにいたいと思った。
少女の考えを、
好きなことを、
苦手なことを……クリスの全てを知りたい。
その時に、確信した。
欲しい
自分はクリスが欲しい
まだ7歳の少女だからなど関係無い
我が国の為ではない
自分の為に
自分だけのものにしたい




