表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/130

(55)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(6)


『………ということで、この矢印は…………は……は……はっくしゅん!あーあ。…………きゃ!し、失礼いたしました!』


『!?………』


『も、もうしわけございませんっ!

くしゃみを止めるのはわたくしの得意技ですのに、

こんかいは止められませんでしたっ!』


『は?…………ぶふっ!』


『!?』


『く、くしゃみを止めるのが、得意技……あーあ、って。ぶふっ!』


『……………』




少女は手書き地図の説明途中にくしゃみをし、

最後に『あーあ』と、男のような声を出した。


自分は思わず少女を凝視した。

くしゃみは良いが、『あーあ』は貴族の令嬢ではありえない。


難しい話を説明していたが、

きっとこれが素の少女なんだろう。

少女の自然な姿を見られて、何故かとても嬉しく思った。


その後の『くしゃみを止めるのはわたくしの得意技ですのに』と、恥ずかしそうに言うその言い訳に、(とど)めの一撃を受けた。


どんな得意技だ。

可愛すぎるではないか。


気が付くと、自分は吹き出して笑っていた。

声を出して笑ったのは、もう記憶に無い。


笑いながら少女を見ると、

(ふく)れっ(つら)でこっちを睨み上げていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ