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(54)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(5)


王宮図書館について質問をしてみると、

緊張しながら答える少女の考え方に、更に衝撃を受けた。




『す、すばらしいと思います。

置かれている本の量もないようも。……ただ……』


『ただ?』


『っ!………きちょうな本や、ひ、ひみつにしなければならない本などは貸し出しがむずかしいことはわかります。

でも、そのほかの本はもっとたくさんの人びとにも読める機会があればいいなと』


『………』


『王宮図書館をりようされるかたは一日におおくて数人です。

でも、それはしかたのないことだと思います。

ここに入る人はだれでもよいわけではありません』


『………』


『わがブラーム国には平民がりようできる図書館がありません。

町なかにだれもが自由に本をよめる図書館があればいいなとおもいます。本にきょうみを持ち、みなが文字をおぼえ、ちしきがふえ、結果として国がつよくなります』




現在、貴族と名乗るの大人達の中で、

この様な考え方を何人が持っているだろうか。


少女は平民の事から我が国の事まで広い視野で考えていた。

私腹(しふく)()やす事、己の欲を満たす事ばかりを考える老害達には一生理解出来ないであろう。


少女は、いきなりの質問に対して即座に考え、

さも当たり前のように自身の考えを話した。

日頃から平民の事も我がブラーム国の事も本当に考えていたからこそ、

この考えを瞬時に答えることが出来たのだろう。


驚きと感動で身体が熱くなった。


今も必死で手書きの地図についての説明をするこの美しい少女を、

我が国は囲いこまなくてはならない。


決して他国等には渡してはならないと思った、その時。







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