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(53)◇ 誰にも渡さない(アルフォンス視点)(4)
この7歳の美しい少女は、大人顔負けの知識を持ち、
それを自分の家や領地の発展の為に多角的に考え、
その先にはブラーム国の繁栄を見据えていた。
話し言葉にはまだ幼さが残るが、しっかりとした自分の信念を持ち、理にかなった内容で説明も分かりやすい。
目の前の少女の知識と思考のレベルに末恐ろしさを感じた。
こんな女性には今まで出会ったことがなかった。
貴族の令嬢達は皆、ドレスと将来嫁ぐ相手の事しか頭に無い者ばかりだった。
年上年下関係無く、まだ13歳の自分にも色目を使ってくる女性達には心底嫌気が差していた。
この少女には全くそれが無い。
逆に早くこの場から、自分のそばから離れたくて仕方がないという態度だ。
面白い。
余計に気になる。
興味が湧く。
もっと少女の話を聞きたい。
他人に興味を持つのも、
こんな気持ちになることも、初めてだった。




