(34) 眠れなかった朝
目が腫れてしまった。
朝起きてすぐに冷やしタオルで一応冷やしたけれど、まだ腫れている。
氷冷材が恋しい。
昨夜、お父様から聞いたアルフォンス様の結婚話がやっぱりショックで、
涙が止まらなかった。
殆ど眠れず、朝方に少しだけ眠った。
マキシム国の第二王女様とのご結婚………。
国王陛下が薦められているお話なら、
もう決まったも同然だろう。
私がおそばにいたらご迷惑を掛けてしまう事になる。
少しでも変な噂が出たら大変だ。
もし、意見交換会のお話を頂いたとしても、
もう………お会いするのはやめなきゃ。
胸が苦しい………悲しいな。
ずっと、気付かない振りをしていた。
アルフォンス様を好きなことを。
アルフォンス様との家格の差はどうしようもない。
他国の王女様と釣り合うくらいの御方だ。
我が家も私もあまりにも中庸過ぎて、
フレデリーグ公爵家とは釣り合わない。
何よりも、
アルフォンス様のお気持ちがわからなかった。
幼い頃から本当に良くしてくださった。
たくさん話を聞いてくださった。
嫌われては………いなかったと思う。
そばにいて欲しいと言ってもらえたし。
めちゃくちゃ嬉しかったし。
可愛いはたくさん言ってくださった。
手を握ったり、抱きしめられたり、
軽いスキンシップはあった……と思う。
なんだ。女たらし!?……なんて。
けれど、
好意の言葉は一度も言われたことは無かった。
6歳も年下だから、恋愛対象にもならなかったんだろう。
ロリコンじゃなかったんだ!……なんて。
この国では、男性のみが家督を継げる。
私は両親に溺愛されていても、
我がラファイエリ伯爵家を継ぐ事は出来ない。
お父様の後はお父様の弟の息子、
私にとっては従弟のロランが我が家を継ぐ予定だ。
なかなかのイケメンで賢くて優しいロランなら申し分無い。
私は……2年後に社交界デビューをして、
我が家に合ったほどほどの家格の優しい旦那様と結婚をして、
子供を産み、ラファイエリ家と嫁ぎ先の為に生きていく。
当初の予定通りだ。
全て完璧。
なのに、涙が止まらない。




