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(30) アルフォンス様の願い ひとつめ


『ゆ、指先に、キスされたー!

キザな仕草で普通の日本人なら鳥肌もんだけど、

アルフォンス様ならめちゃくちゃサマになってるけど!

さっきまで捨て犬みたいに(しお)れてたのに、

アノ三白眼でこっち見てる………こ、怖っ!

何かちょっと元気になってきてる?よかったけど!』



じっと私を三白眼で見つめていたアルフォンス様は、

急にずいっと顔を近付けてきた。

もう、頬にキスをしそうな距離間だ。近すぎる!

私は思わずぎゅっと目を瞑った。

と同時に顔をぶんっ!と(そむ)けて、

両手でアルフォンス様の肩をぐいぐい押しているけどビクともしない!

肩の三角筋、鍛え過ぎ!筋肉、好きだけど!!



「ちょっと!アルっ、ち、近いから離れてっ!」

「一つ目。今後も今のように、私を必ずアルと呼んでください」

「へ?」

「いいですか?二人っきりの時は、必ずアルと呼んでください。

貴女は今まで何度お願いしても、すぐにアルフォンス様に戻る。

賢いのに何故そこだけすぐに忘れてしまうのか」

「えっと………あのー」

「はい。何でしょうか、クリス」

「そんなんで良いんですか?チャンスは二つしか無いんですよ?

もっとあれが欲しいとか、これして欲しいとか。

例えば、何だろ?肩もみして欲しいとか?」

「かっ、肩もみっ!?………それはかなり魅力的ですね」

「しましょうか?私、結構うまいですよ?」

「して欲しいのはやまやまですが、今回は二つしかチャンスが無いので、本当にかなり悔やまれますが我慢します」

「はぁ。そうですか。でも、アルって呼ぶことくらいそんな大した」

「大事な事です!」

「うわっ!びっくりした!」

「すみません、つい力が入ってしまいました」

「だ、大丈夫」

「………もう、私のことをアルと呼んでくれる人は、クリス……貴女しかいなくなってしまいました」

「っ!…………」

「ですから、貴女にはアルと呼んで欲しいんです。お願いします。

もちろん、人前では呼びにくいことは承知しています。

私は平気なんですが。寧ろ呼んで欲し」

「わ、わかった!わかりました!お安い御用です!呼びます!アル!」

「ありがとうございます。クリス」

「っ!………あ!でも、二人っきりの時だけですからね?」

「わかりました」



私を至近距離でガン見しながらニッコリと笑ったアルフォンス様は、

またアノ三白眼だった。

これだけ近くで見ると、もう恐怖でしかない。



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