(25) 悲しい一報
すっかり意気投合したカトリーヌ様と私のお母様。
テンションMAXな二人の前で(時々公爵とアルフォンス様も観覧合流)、カトリーヌ様がその日プレゼントしてくださったドレスを着てファッションショーをさせられるという公開処刑のようなイベントをさせられた。
執事のサムさんや周りのメイドさん達を巻き込んでの拍手は居たたまれない。
この時、ガン見で私を見つめるアルフォンス様の目付きは、三白眼のかなり悪いアノ目付きだ。
やっぱり怖い。
頼むからドレスが似合って無くて気に入らないなら、そう言ってよ!
そちらのテンション高い貴方のお母様に!!
もう本当に、毎回泣きそうだった。
『本当にクリスティーナは、なんて可愛いのかしら!
わたくしは元気な娘は産めなかったけれど、こんなに可愛いクリスティーナに出会えて本当に幸せだわ。
アルはよくクリスティーナを見付けてくれたわ!
この、エレン様譲りの美しいプラチナブロンドに可愛いお顔、
ラファイエリ伯爵譲りの宝石の様な碧の瞳。
もう何度見ても、本当に可愛くて可愛くてお人形みたいで、
わたくしはもっと色んな素敵なドレスを着せてあげたいの。
もちろん、靴も宝石もね!
今度のドレスは、今日クリスティーナがくれた素敵なお花と同じ色の、ローズピンクにしましょう!
サム、すぐに仕立屋を呼んでちょうだいね』
『かしこまりました、奥様』
『本当だね、カトリーヌ。
クリスティーナは可愛くて賢くて、更に心も優しい。
一日も早くアルと結婚してもらって、我が家にずっといて欲しいんだ。今日からでも良いんだよ?クリスティーナがいると妻もこんなに喜んで元気が出て、我が家が賑やかで華やかになるんだ。
あの無愛想なアルも、クリスティーナの事になると人が変わるからね。
クリスティーナを見付けたアルはでかしたね!』
公爵夫妻お二人が、光輝く超絶美貌をお持ちなのに、
いつも私をたいそう誉めてくださった。
毎回恐縮し過ぎて、身長が若干縮まった気がする。
確かに前世の桐生里奈目線で今の自分を見たら超絶美少女だったが、
公爵夫妻とは美しさのレベルが違う。
そりゃ、アルフォンス様が生まれるわけだ。
但し、公爵夫妻の話を一緒に聞いていたお母様は、
笑っていない緑色の目でお二人を見つめながら、
『16歳の社交界デビューをするまでは、ティーナをお嫁には出せませんわ』と、私と同じ顔でやんわりキッパリお断りしていた。
この場でその言葉を毎回言えるお母様、すごい。
フレデリーグ公爵夫妻。
本当にお優しかった。
大好きなお二人だった。
2年前、お父様から事故の一報を聞いた時、
私は声が出なくなっても泣き続けた。




