(18) チビにも優しい黒髪イケメン子爵
そんなこんなで、ふたりの意見交換会はまあまあ順調に開催された。
毎回2時間程の会では、とにかくアルフォンス様から質問責めに合った。
ありとあらゆるジャンルについて尋ねられた。
アルフォンス様はチビの私の話をいつも真剣に聞いてくださった。
その姿勢は16歳になった今でも変わらない。
それは本当に嬉しかった。
それまで私の周りにはちゃんと話せる大人がいなかった。
お父様もお母様も私を猫可愛がりするばかりで、
『ティーナはそんなに可愛いのに賢いなんて……』と話の途中で感涙する。
私の話しなんて真面に聞いちゃいなかった。
家の執事もメイド達も同じ。
早々に諦め、自分で調べて納得して昇華するようになった。
私はアルフォンス様に前世の知識を怪しまれない程度に、
いかにも『わたくしの勝手な想像なんですけどー』なテイで話した。
アルフォンス様は疑問が浮かぶと全て尋ねられる。
私もなるべく丁寧にお答えした。
更に、私も常々疑問に思っていたことをここぞとばかりに質問した。
アルフォンス様は綺麗な黒い目を一瞬見開き、
ひとつひとつ丁寧に答えてくださった。
チビにも優しい黒髪イケメン子爵だった。




