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(16) ふたりの意見交換会

「ちょ、っと、て!手を、お離し、ください!」

「いけません。段差があって躓いては大変ですから」



完璧に整備されてる王宮のこんな平坦な場所で、

簡単にコケるような段差なんて無いと思う。

きっと、整備担当の職人技を持つ匠的な方が聞いたら、

『心外だ!』と、怒り心頭だろう。



「さあ、クリス。乗ってください」

「………はい、ありがとうございます」



夕焼けで空が赤く染められた夕方。

王宮図書館での二時間程の定例の意見交換会が終わり、

私はアルフォンス様にエスコートをされながら、

我が家よりも数百倍もゴージャスな馬車に乗った。

広くて揺れも少ないし、なんせ椅子がフワフワでめちゃくちゃ座り心地が良い!一時間乗ってても、おしりが痛くない!私のためにとクッションも多めに置いてくださっている。靴を脱いで正座して乗りたいくらいだ。

すごい!さすが公爵家の馬車だ!………けれども。



アルフォンス様は私の真横に座り、

私の手を握ったままじっとこちらを見ている。

余計に手汗が出るじゃない!

気になって気になって仕方がない。



「今日も可愛い手ですね、クリス。小さくてスベスベだ」



おいおい、そのセクハラオヤジみたいな台詞ー!

顔がすこぶる良くて既に子爵&いつか公爵な13歳のアルフォンス様ならギリギリセーフだけど、一般企業なら今ので一発完全アウトよ!



「…………座っているのでコケません。………お手をお離しください」

「道の段差等で大きく揺れる事もあります。もしもの場合に備えましょう」

「…………(もうっ、しつこい!早く離してよ!手汗拭きたいのにっ)」

「…………貴女はやっぱり何かが違います。

他の令嬢なら嬉しそうに笑顔で私の手を握り返すはずです。

それなのにクリスは私を睨むし、ムスッとしかめっ面だ。ふふっ」

「…………さっきからお願いしていますが、

早く手を離して頂きたいんです。笑顔になんてなれませんわ」

「それは駄目です。クリスに万が一の事があっては…」

「そんなこと、滅多に無いっていうの!

もう何回も送って頂いてて、私が倒れるくらいこの馬車が大きく揺れることなんてありましたか!?こーんなゴージャスな造りの馬車がガッタンと揺れるなんて、ほぼ敷石で整備されている王都の馬車道ではありえないわ!他国にも誇れるレベルだっちゅーの!土建屋さんたちにあやまれー!」

「ふふっ!クリスの本当の喋り方がやっぱり好きです。

今日はずっとよそよそしいから寂しかったんですよ」

「好きっ!?寂っ!?……………(13歳のクセに女の扱い上手すぎじゃない!?)」





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