(129) ガイア王子の恋(1)
※大変ご無沙汰しております。
体調が優れず投稿が遅くなって本当に申し訳ありません。
少しずつ投稿いたします。
相変わらずの不定期投稿にも係わらず、読んでくださった皆様、楽しみに待っていてくださった全ての皆様、本当にありがとうございます。
2話程、ガイア王子の気持ちを投稿します。
お楽しみいただけましたら幸いです。
なんだ、あの妖精は。
湖畔の木陰にいた少女は、
幼い頃に読んだ絵本の中の妖精にそっくりだった。
大きな銀杏の木の下で座るラファイエリ伯爵令嬢を見た時、本気で妖精がいると思った。
少女はキラキラと輝いていて、一目見た瞬間に時間が止まったような気がした。
ダイヤモンドの如く輝く柔らかそうな長い髪。
透けてしまいそうな色白の肌。
我が宝石のレッドダイヤモンドのような赤い唇。
大きな瞳は深い碧色のジャスパーの様に輝き目が離せない。
あらゆる宝石が採れ、美人が多いと自負する我がグスタフ共和国に於いても、これ程までに美しい宝石は見たことがない。
欲しい。
手に入れたい。
俺は一瞬で妖精を気に入ってしまった。
妖精は言葉を話せなかった。
少し驚いたが美しい筆致や分かりやすい地図、更にはグスタフ語を理解できる聡明な少女だとわかった。
身体の小さな妖精が俺を見上げると、本当に可愛くて自分の胸の動悸が激しくなった。
心なしか顔が熱い。妙に照れる。
途中、何故か怒りだした妖精がまた可愛すぎた。
生意気に俺を下から睨み付ける顔が本当に愛らしい。
しかし怒らせた様なので、座って謝った。
俺が謝るなんて久しい事だ。
妖精は困ったような顔をしながら、笑って許してくれた。
ほっとして、言葉に出来ない程愛らしい笑顔に嬉しくなる。
心が温かい。
こんなことは初めてだ。
グスタフ共和国の第三王子、ガイア・バティスタ・ズフタスとして生まれた俺は、二人の兄とは母親が違った。
二人の兄の母親は正妃で、俺の母親は父親が侵略した国の王女で側妃だった。
母親は俺を生んだ後すぐに亡くなり記憶には無い。
大人しく優しい人だったらしい。
父親のザイール国王はプライドが高く戦好きで短気な性格だ。
ある意味愚蒙と言ってもいい。
白髪交じりのオレンジの色の髪に、赤色の瞳。
有り難くない事に俺は父親の容姿を色濃く受け継いだ。
そんな俺を正妃は、周りが次王に担ぎ上げるのを恐れ忌み嫌い、兄二人と近付けたく無かったようだが、当の二人が俺を大層可愛がった。
第一王子のジークは文武両道な男で、今は結婚して王太子になった。
第二王子のロメールは頭脳明晰で宰相に。
第三王子の俺は武術には自信があり副将軍となり、共和国軍の中枢にいる。
兄達とは喧嘩もよくしたが、真面な人間で心から良かったと思う。
兄達が歪な人間だったら、今俺は生きていないだろう。
俺はジークやロメールの為に、グスタフ共和国の民の為に身命を尽くすと心に決めている。
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