(122)王妃殿下のお茶会(4)
『皆様、ありがとうございます……』
『クリスティーナ様、照れておられるのもとても可愛らしいですわ』
『畏れ入ります、リリアンヌ王女様……』
『ふふふ。ねえ、リリアンヌ王女。今年の満月祭を見られないのは本当に残念だわね』
『はい、とても残念でございます。でも、来年はアルフォンス様とご一緒に見る約束をいたしましたので、今から来年が楽しみですわ』
『!…………』
『……さようでございますか。もう来年のお約束をなさっておられますのね………ご婚約者同士が仲良きことは本当に素晴らしいですわ。美男美女のお二人様はとてもお似合いでございますね』
『そ、そんな………ありがとうございます。そう言って頂けますと大変嬉しいですわ。ブラーム国の皆様は本当に驚く程お美しい方ばかりですので……』
『!…………』
お母様の言葉に頬を朱く染めたリリアンヌ王女様が、一瞬私の方を見られた。
すぐに目を逸らされて、またお母様と話しておられる。
そっか………。
リリアンヌ王女様とアルフォンス様には、きちんとした未来の約束があるんだな。
なのに。
私が一方的に言われたあれは、本当に何だったんだろう。
今更ながらアルフォンス様の不誠実さが信じられない。
『…………』
『クリスティーナ様は、満月祭をどなたと見に行かれますの?』
『……まだ、決まっておりませんが、例年通り父と母と一緒かと……』
『あら!なら、今年はわたくし達と一緒に見ましょうよ!エルもサイも喜ぶわ!エレンとカールとクリスティーナと一緒に見れるなんて賑やかになるわね。お祭りが楽しみだわ!』
『え!?』
『そうですわね、リー様。是非お願いいたします』
『お、お母様!?』
『はい!決まりね』
『それはとても楽しそうでございますね。私もご一緒させて頂きたかったですわ。ますます帰国したくなくなりました……』
『…………』
またややこしい予定が決まってしまった。
今年の満月祭は仮病でも使って屋敷に引きこもってようと思ってたのに、何でこうなる?
『お話し中失礼いたします。王妃殿下、庭師のレイモンドが戻って参りました』
侍女のメリーナが王妃様に話し掛けた。
『まあ!早かったのね!エレン、前に話していた珍しい草が見つかったのよ。多分、カールが研究に使えそうな草らしいの。見つけたレイモンドが案内してくれるから今から見に行きましょうよ!』
『まあ!あれが見つかったのですか?是非お願いいたします』
『ええ、行きましょう!では、リリアンヌ王女、クリスティーナ、少し二人でお話ししていてね。うふふ。では少し失礼するわね』
『リリアンヌ王女様、御前失礼いたします。ティーナ、行ってくるわね』
『はい、王妃様、お母様。いってらっしゃいませ』
私は立ち上がって、お二人にシルトで御辞儀をした。
とうとう、リリアンヌ王女様と二人っきりになってしまった。
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