(119)王妃殿下のお茶会(1)
王妃殿下主催のお茶会当日。
何とか準備を終えた。
準備疲れと緊張で、もう既にぐったりだ。
一緒に頑張ってくれたメイド達も皆、疲労困憊だった。
『私が出掛けている間はしっかりと休んで欲しい』と伝えたら、皆窶れた顔に涙を浮かべていた。
泣くほど疲れさせてしまって本当に申し訳無い。
お母様はいつもと同じペースで、身支度も完璧だった。
プラチナブロンドを緩く結い上げ、紫色の艶感を抑えた茶会用ドレスと真珠のアクセサリーが品良く美しい。
お父様は抱きしめながら、全力で褒めちぎっていた。
私はお母様に相談して、薄い紫色の極力肌を見せないシンプルなデザインの茶会用ドレスにした。
この素敵なドレスはアルフォンス様の亡きお母様、カトリーヌ様から頂いた沢山のドレスの中のひとつ。
私が少し痩せてしまったので急遽サイズを手直しした。
アクセサリーも控えめ且つ地味になりすぎないようにヴァイオレットモルガナイトで合わせた。
髪型はまだデビュー前の14歳なのでハーフアップにした。
お母様は私が必死のパッチで仕上げたこの姿を見て、お父様と一緒に感動して泣いていた。
私は行きたくなさ過ぎて泣きそうだった。
王宮の庭の四阿でお茶会が始まった。
参加メンバーは王妃殿下、リリアンヌ王女様、お母様、そして私の4人で、とても優雅な時間が流れている。
私は緊張しながらも気合いで伯爵令嬢スマイルを顔に貼り付けながら、椅子に座っていた。
今日はお母様が一緒なので、ものすごく心強い。
更に嬉しいことに、王妃殿下の後ろにメリーナが控えていた。
王宮に泊まった時にお世話をしてくれた、実は王妃殿下専属の侍女兼護衛のメリーナ・メイ男爵令嬢だ。
目が合うと、とても嬉しそうににっこりと笑顔で会釈をしてくれた。
久しぶりに会えてとても嬉しい。私も笑顔で答えた。
この四阿は、以前王宮図書館から見てしまった、アルフォンス様とリリアンヌ王女様が仲良く逢引きしていた、あの場所だ。
美しい花園と池が見渡せて本当に素敵な所だけれど、嫌な思い出しかない。
まだ始まったばかりだけれど、本当に帰りたかった。
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