表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/130

(113)リリアンヌ王女の決意 (1)

※沢山の方に読んで頂いて本当に嬉しいです!

ありがとうございます!!

ブックマークや、ポイントを入れてくださった方、

本当にありがとうございます!大変励みになります!!



※不定期投稿になりますが、リリアンヌ王女編をお送りします。

当初の予定より少し長くなりそうですが、よろしければお楽しみください!




私は何かを望むことを諦めていた。


姉の存在が、全てを諦めさせた。





私は、マキシム国の第二王女としてこの世に生まれた。


私より二年先に生まれた第一王女のジョアンナお姉様は、

華やかで美しく艶やかで、お母様譲りの太陽の様な赤髪がその存在を輝かせていた。


私はお父様似の暗い黒髪で見た目は地味で身体も細く、性格も気弱だった。

気性が激しいお姉様の前では、いつも(おび)えていた。



私が五歳の頃、病で亡くなったお母様は大人しい私もとても可愛がってくださった。

泣いている私を細い腕で優しく抱きしめてくださったお母様。


亡くなった時は、絶望を感じた。

あの優しい温もりを思い出すと、今でも涙が込み上げる。




大好きだったお母様と同じ赤髪を持つお姉様が、ずっと羨ましかった。


お父様はお母様似のジョアンナお姉様をとても可愛がった。

甘え上手なジョアンナお姉様はお父様に愛され、引っ込み思案な私はお父様に甘えることが出来なかった。


お母様の死後、お父様は益々お姉様を溺愛し、お姉様の願いを叶えた。


お姉様は私から全てを奪っていった。





『リリアンヌ!あの真珠のネックレスとイヤリング、私に渡しなさい!』


『そ、そんな!あれは、お母様の形見分けで私が唯一頂いた宝飾品なのです……』


『だから何!?未だデビューもしていないあなたなんて、当分使う機会は無いじゃない!使わないとお母様も悲しまれるわ!

それに、あの大きくて美しい真珠は、地味で陰気なあなたが着けるより、華やかな私が着けたほうが似合うのよ!いいから早く!つべこべ言わずに今すぐ渡しなさいっ!!』




『リリアンヌ!あの新しい桃色のドレスは泥沼の様な真っ黒な髪のあなたには似合わないわ!私に寄越しなさい!』


『リリアンヌ!あなたにはそんな華やかな髪型も髪飾りも似合わないのよ!髪色に合うようにもっと地味にしなさい!髪飾りはしないで!』


『リリアンヌ、あなたのダンスレッスンの男の先生、とても素敵な方ね。明日からレッスンは私が参加するわ!あなたは気分が悪いと言って休みなさい!いつまで経っても下手なんだから、これ以上レッスンしても無駄よ!!』




─────ジョアンナお姉様に何もかも(ことごと)く奪われ、否定された。


一度、私付きのメイドがお姉様の無茶な指示に従わなかった事があった。

翌日、そのメイドは城からいなくなった。

お姉様に逆らうと、私以外の者にも被害が及んでしまう。



私は全てを諦めた。



過去も現在も未来も、自分で選べる事は何一つ無く、

当然結婚もどんな相手であろうともお父様の決めた相手に嫁ぐのだと思っていた。



そんな、全てを諦めていた私の前に、あの御方が現れた。




大国ブラーム国の次期公爵、

アルフォンス・デ・フレデリーグ様。




我が国を訪問されていたブラーム国王陛下の歓迎晩餐会で、初めてそのお姿を見た。



黒髪で堂々としたお姿のアルフォンス様を見た瞬間に、

私の心は震えた。



当時、まだフレデリーグ公爵を継ぐ前のロッシュ子爵だったアルフォンス様は、黒い騎士服に黒いマントを羽織ってブラーム国王陛下の警護をされていた。

見上げる程に背が高く、私と同じ黒髪の隙間から切れ長の漆黒の瞳が見えた。


心臓が波打ち、目が離せない。


私はひと目で、アルフォンス様を好きになってしまった。




お姉様に続いて、アルフォンス様とダンスを踊っていただいた。

初めの方は緊張と興奮で殆んど記憶が無い。

うつむき加減で踊る私に、アルフォンス様はダンスの途中で優しく話しかけてくださった。


低く男らしく、優しいお声だった。




「リリアンヌ王女、お辛くはないですか?」


「えっ?………」


「………自分はかなり上背(うわぜい)があるので、きっと踊り(にく)いと思います。申し訳ありません」


「そっ、そんな!ロッシュ子爵様はリードがお上手で、とても踊りやすいですわ………」


「そうですか。それなら良かった。ありがとうございます」


「!………私の方こそ、ありがとうございます」




アルフォンス様は小さく笑ってお礼を言ってくださった。


その笑顔を見て、私は何故か泣きそうになった。



曲が終わりゆっくりと手を離され身体が離れた時、言い様の無い寂しさを感じた。



その後、晩餐会が終わるまでずっと、アルフォンス様を見つめていた。











※お読み頂きありがとうございます。


もし、少しでも面白いかも!と思っていただけたら、下にある☆を押してくださるととても嬉しいです。めちゃくちゃ励みになります!


どうぞよろしくお願いいたします。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ