(11) 黒の美少年の事情聴取
できる限り無表情でがんばった。
もちろん前世の事は話さず、
ただ本が大好きで色々な事を学びたいこと、
実家の領地経営がかなり心配で何か新しい事業は無いか調べていたこと、家庭教師のお陰でいつの間にかカタコトながらも二ヶ国語を話せるようになっていたこと等々、令嬢らしく冷静且つ必死に『こどもらしい話し方』で説明した。
初めは完全に私をスパイ扱いし、
射るような目で睨んでいた黒の美少年は、
次第に驚愕の眼差しに変わっていった。
「………ラファイエリ伯爵令嬢」
「………はい」
「今、何歳だ?」
「(うわー。女性に年齢聞くなんて、貴族のご子息のくせにデリカシー無いわー。あ。わたし幼女だったわ)………7歳でございます」
「7歳……。………では、私の質問に答えろ。
………この王宮図書館の事をどう思うか?」
「えっ?………」
「お前の正直な考えを話せ」
「(あら、そう?なら、お言葉に甘えて。言うわよ!)は、はい………す、すばらしいと思います。
置かれている本の量もないようも。……ただ……」
「ただ?」
「っ!………きちょうな本や、ひ、ひみつにしなければならない本などは貸し出しがむずかしいことはわかります。
でも、そのほかの本はもっとたくさんの人びとにも読める機会があればいいなと」
「………」
「王宮図書館をりようされるかたは一日におおくて数人です。
でも、それはしかたのないことだと思います。
ここに入る人はだれでもよいわけではありません」
「………」
「わがブラーム国には平民がりようできる図書館がありません。
町なかにだれもが自由に本をよめる図書館があればいいなとおもいます。本にきょうみを持ち、みなが文字をおぼえ、ちしきがふえ、結果として国がつよくなります」
「………」
「………(あれ?喋りすぎたかしら?まだ睨んでるし!
この美少年、やっぱり怖いんだけどー!?)」
「………」
「………勝手なはなしばかりをして、大変もうしわけございませんでした」
「いや、良い………ラファイエリ伯爵令嬢」
「はい」
「この紙に書いてある事をもう少し詳しく説明してくれ」
「っ!……はい………(ちっ。メモ!忘れてくれてるかもと期待したけど甘かったかー!)」




