(109)◇ 諦めない (アルフォンス視点)(3)
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「───ところで、リリアンヌ王女。帰国日はいつだったかな?」
「はい、国王陛下」
柔らかく微笑むリリアンヌ王女に、国王陛下は優しく尋ねた。
「来週の末でございます」
「そうか。寂しくなるな。なあ、アル?」
「……はい」
「………私も、大変寂しゅうございます。
ブラーム国の皆々様には本当に良くしていただきましたので……」
「リリアンヌ王女の傍にはずっとアルがいたからね。余計に寂しく感じるよね」
「そんな……からかわないでくださいませ。サイファー王太子殿下」
サイの言葉にリリアンヌ王女ははにかむように微笑みながら自分の顔を見つめた。
自分は小さく微笑み、頷いた。
「仲が良いのは良いことだね!」
「サイ、それ以上からかうな」
「アル、照れなくていいからね」
「………」
「そういえば、ジョアンナ王女の結婚式は再来月とお聞きしたのだけど……」
「はい、あの様な形での結婚ですので……再来月に内々で行うこととなりました」
リリアンヌ王女の姉、ジョアンナ王女は奔放な行いで未婚にも拘わらず、妻子ある下級貴族と関係を持ち子を身籠り、先月出産した。
ただ、マキシム国に忍ばせている諜報部員によると、
同時期にジョアンナ王女と関係を持っていた男が他にも数人おり、本当の男親は不明との事だった。
王女として、人として、あるまじき行為だ。
公には病気療養のため王宮を離れているとされているが、既に社交界で噂は広まっていた。男親が不明な事までも。
裏で噂を広めさせたのは自分だ。
少々厄介で煩い女を排除した。
今後社交界に戻ったとしても、真面に相手にはされないであろう。
ジョアンナ王女の扱いに困ったマキシム王は、国内貴族のバークレイズ侯爵との結婚を無理矢理決めた。
若くして侯爵を継いだその男は気弱な性格だが異常な程の賭事好きで、侯爵家の資産を数年でほぼ使い果たしていた。
マキシム王はジョアンナ王女にかなりの額の持参金を付ける事を条件に、この結婚を無理矢理纏めた。
生まれた子供は秘密裏に他国に養子に出された。
身勝手で最低な話に、心底軽蔑した。
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