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(108)◇ 諦めない (アルフォンス視点)(2)


瞬時に頭に血が上った。

怒りで思わずクリスから目を逸らした。


あの碧色のドレスは間違い無く、サイがクリスに贈ったものだろう。

ドレスの色の意味を考えると、サイに殺意が沸いた。

クリスもその意味はわかっているはず。

にも拘らず、平然とそのドレスを着ているクリスに苛立(いらだ)った。


今の自分にはクリスを(とが)める資格も無いのに。

身勝手な考えに苛立つ自分にも、どうしようもなく腹が立った。



(くや)しいが、サイとクリスの碧色の瞳は似ている。

クリスの碧はこの世のものとは思えないほどに美しいが。


金髪と白金の髪。

美しい相貌の二人は恐ろしい程に似合っていた。


強烈な嫉妬と憎悪で強く握り締めた拳が震えた。



流暢(りゅうちょう)なマキシム語でリリアンヌ王女と話すクリスに焦った。

数ヵ国が話せるクリスは、更にサイに気に入られてしまう。

もうこれ以上、気に入られないで欲しいのに。


自分は思わずクリスを見つめた。



その時、目が合った。



久し振りにクリスと目が合い、金縛りのように目が離せない。




嬉しい。

愛おしい。

クリスの耳元で愛を囁きながら抱き締めたい。




碧色のクリスの瞳も、こちらを真っ直ぐに見つめていた。

身体が熱くなり、鼓動が激しくなる。



しかし、隣に寄り添うリリアンヌ王女の存在が、

自分を現実の世界に引き戻した。



慌ててまた目を逸らした。



目の前に、手が届く距離にいるのに、拳を握りしめ奥歯を噛み締めて耐えるしかなかった。



クリスと腕を組み颯爽とエスコートをするサイが、心底羨ましかった。







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