(107)◇ 諦めない (アルフォンス視点)(1)
※投稿が大変遅くなって申し訳ありません。
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不定期の投稿ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
この回から少しアルフォンス視点が始まります。
まだまだグダグダなアルフォンスですが、どうぞお楽しみください!
「………ォンス様………アルフォンス様?」
「っ!?…………」
「……大丈夫でございますか?」
「……大丈夫です。失礼いたしました、リリアンヌ王女」
「アル、どうした?もう酔った?酒はザル並みのアルがまさかね!
でも、確かに今夜は何だかぼーっとしてるね。大丈夫?」
「……大丈夫です」
「そう?ま、隣に座る可愛い婚約者殿の帰国日が近付いて来ているから、気分が沈み気味なんだね、きっと」
「まあ、そんな……」
自分の向かい側の席に座るリリアンヌ王女は、サイの言葉に頬を朱く染めながら恥ずかしそうに俯いた。
リリアンヌ王女の隣に座る国王陛下も、陛下の隣の王妃殿下も、自分の隣に座るサイも、皆楽しそうに笑っている。
周りに控える侍従や給仕係達も、リリアンヌ王女の様子を温かく見守っている。
王宮のダイニングルームでの晩餐は、とても和やかな雰囲気だった。
サイの言う通り、自分の心は国王陛下との晩餐中にも拘わらず、数時間前に偶然見たクリスの事を思っていた。
急遽、リリアンヌ王女が我がブラーム国に視察という名目で滞在し、陛下の命令により自分はほぼ毎日王女に付き添っていた。
王宮内に潜むグスタフ国の鼠に見せつける為だった。
今日は昼間から陛下の私室にリリアンヌ王女と二人で呼び出された。
茶菓子として出された我が公爵領の名産品の干し柿と共に、懐かしいラファイエリ家の茶が出された時にもクリスを思い胸が痛んだ。
他愛のない話をした後、リリアンヌ王女と応接室を辞すと、サイにエスコートされたクリスがいた。
クリスを見た瞬間、その周りは霞み、クリスだけがはっきりと目に映った。
久し振りに見た愛おしいクリスは少し元気が無い様に見えた。
それでもやはり息を呑むほどに美しかった。
彼女だけが一人、キラキラと輝いていた。
しかし、クリスの纏うドレスが目に入ると、衝撃を受けた。
クリスは碧色の───サイの瞳の色のドレスを着ていた。




