007 困った客
今回は料理ではなく、飲食…サービス業のお話です。
飲食店に限らずサービス業の場合お客様の要望はある程度叶えなければならない。が、中には『お客様は神さまだ』と傍若無人な態度をとる人もいる。
本来それは店側がお客様に対するものでありお客様側から求めるものではない。
大体、1000円、2000円程度で『土下座しろ!』とか完売の物でも『私の分を用意しろ!』とか自分は金を払うのだから偉いのだというのはどうかと思う。
しかし、今の時代そんなお客様はいたる所にいる。
「なによ!私が頼んだ物と違うじゃない!こんなもの食べれないわよ!!」
「しかし…」
40代であろうか?厚めの化粧をした婦人がミキちゃんに食いかかっている。
「大体なぁに?アンタ、私が来店した時から態度悪いわよ!アンタの名前は?どうせバイトでしょ!」
ジンはたまらずホールへ出てミキにいう。
「ミキちゃん、あっちのオーダーよろしく!」
「店長!…失礼します!」
さてと、
「お客様、如何なさいました?」
「アタシが注文した物が違うのよ!それなのにあの子謝りもしないで!」
「しかしながらお客様のご注文はカニチャーハンですよ」
「アタシが頼んだのはエビチャーハンよ?アナタもおかしんじゃない!」
「私はキッチンからお伺いしていました。スタッフも聞いているので間違いはないかと…」
「っ!アンタ名前は?こんな店潰してやる!」
「…名前を聞いてどうするのですか?」
「ネットに書き込んでやるから!」
困ったお客様である。今時、名前は個人情報だというコトを理解しているのか?
「ウチの店のコトはネット禁止です。写メもブログも…。看板にも記入してあるし、来店時にも確認しているはずですが?」
「何?逃げてんの?ふざけてるんじゃ無いわよ!お客様は神様なのよ!」
「…すみませんが、他のお客様のご迷惑になるので退店していただきます。これ以上騒ぐようでしたら警察を呼ぶことになりますが?」
「なっ!ふざけんじゃないわよ!こんな店コッチからお断りよ!」
婦人はバンっと扉を開けて出て行った。
「皆さま、お騒がせ致しました。ご迷惑をおかけしたのでデザートをサービスさせていただきますね!」
店内に不安な空気が流れていたがすぐに落ち着いた。
店内の音楽もポップなものに変える。
「店長…。すみませんでした」
「ん?大丈夫!アレは店の権利で保証されているから!」
「じゃあ、なんでそのコトを言わなかったんですか?」
「感情的な相手に法律の話をしたらどんどん拗れるだけなんだよ」
まあ今回は他のお客様が不快に思っていたのが理由ではあるが…。
「今回は犬に噛まれたと思って我慢しよう!後で賄い奮発するから!」
「ハイ!頑張ります!」
お客様も100人いれば100通り。
たまにああいうコトはある。まあ、店をやってる以上仕方無い…。
 




