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鉄輪

作者:貨物男
 ただ、ただ静香と共に過ごす時のありがたみを噛み締めつつ山を眺めやる。木々は紅葉をなして、霧に煙る峰を彩っている。ちっぽけなおもちゃのような列車に揺られながら、二人で景色を写真にとり、歓談している。時に放送で流れてくる車掌さんの語りも、二人の間を盛り上げてくれる。案内される景色はどこで、どうなのか。楽しいことを最愛の人と分かち合える幸せに勝るものはない。深山幽谷を居ながらに楽しめるこの列車で、ここにこれたことが、何よりの幸せだ。

『まもなく見えてきましたのが、井川線のレインボーブリッジです。この橋を二度わたりまして対岸に着きます。そして真ん中には奥大井湖上駅となっております。この駅を降りましたら、折り返しの列車は…』

この駅で、ハート型の錠をするというおまじないのためにここに来たのだ。この駅の別名が『奥大井恋錠』となっているのだとか。
 降りて、まもなく発車していった。そのエンジン音が遠ざかってゆく。鞄から恋錠を取り出して、思わず互いの手が触れる。どちらともなく、「あ」と声が出て、風にとけて消えた。なんだかこんな初々しい距離がもどかしくもあり、また居心地よくもある。それがおかしくて、思わず笑みが漏れれば、静香もまた微笑む。寒風荒ぶ橋の上の筈なのに体の中から暑くて、風が心地よい。二人で錠を金網にかける。カチリという感触が手に残る。

風の声、舞う木の葉。静香は云う

雄山や
紅葉且つ散る
鉄の道

それに繋ぐのが僕らの遊び。さあ、どう繋げようかな。

両輪揃い
連なり進む
千頭の蕎麦はいいぞ。蒸気機関車のタービンやコンプレッサーの音やら煤と油の臭いを胸に受けつつ、食べるのは。更に出汁がいいのよ。思わず汁を飲み干したくらいだ。

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