第1章 貧乏神
「はー、さみぃ…確か転校生が来るんだっけ?そんな事どうでもいいから早く学校に着かなくて…ん?」
「キャー!!誰かッ!誰か助けて下さい!!」
(あの制服…自分の学校か…?見たことないし、転校生かも知れないな。ただ、助ける義理もないし、関わりなんてないから助けなくても…いや待て、俺の!今の!学校生活は!どうなっているッ!?危機的状況ではないか…ここで、救えば一躍英雄として称えられるのでは?…そう考えると行くしかないなッ!)
「あのー…その子がこまってるんだけど」
内気な性格(?)である俺が女の子を捕まえている奴らに話しかけた。
「あぁ?なんだァ、お前」
「俺らに相手で来るはずねぇだろ」
「ちぃせぇなぁ、1発殴って来いよ」
散々言われた俺だが、運動神経は良かったので、その挑発に乗った。
「あぁ、いいだろ。公開すんなよ?」
「公開すんのはお前だろ…ククク」
俺は少し離れ、助走をつけて走った。
その時━━
「うぉぉおおあああ…って、ちょ」
俺は足元に置いてあった缶に気付かずに、転ぶ…いや、転びそうになった。上手く態勢をとろうと思ったので、前に上半身を起こそうと思った瞬間、足が缶に乗ったままなので、後ろに足が行った。前にいた男の肩を掴もうと思ったが距離が無かったので、地に手をつけて倒立をし、更には倒立前転まで。勢いが多かったため前にいたやつの背中を思いっきり蹴って、倒してしまった。まずいと思ったので、自慢の跳躍力で仲間の一人を飛び越えようと思ったが、当然漫画の世界ではないので、飛び越えは出来なかったが、顔面を蹴ってその人は倒れた。
もう1人は敵わないと思ったのか、逃走した。
一連の流れだ。俺は英雄(?)になった。
こんなことをしていたら当然学校には間に合わないだろう。教師に事情でも言うか。その前に倒れた人の対処をしなければ行けなかった。…それにしても何故あの転校生は立ち尽くしているんだ?
「え、えっと、今から行っても行っても間に合わないけど、学校は?」
「…」
「あのー」
「…まの」
「?」
「今の…」
「うん」
「今の何ですか!凄い!ヒーロー見たいだなぁ…あ!そう言えば学校ってどこですか?迷っちゃって、ハハ。あ、私の学校と同じ制服ですね!という事は学校の場所分かりますよネ?私学校とかよく分からないんですよ~ここに来る前(ry
ただ言おう、コイツは五月蝿い。有り得ないほど五月蝿い。こんな奴を救ける義理なんてやっぱり無かった。
「あ!そう言えば私の名前はですネー…風味翔香です、貧乏神デス!よろしくデス!」
「あ、うん。俺は尼崎犹よろしくね。」
まぁ、でも仲良くやっていけそうだな。…あれ?なんか…
風味翔香です、貧乏神デス!
…おぉい、ちょぉっと、ま、まて、焦るな。
貧乏神?ネタだよな。アメリカンジョークだよな、聞き間違いだってあるし。…いや、念のため、念のために聞いておくか。
「あぁのぉ風味さん?」
「?何ですか?あ、翔香でいいデスヨ」
「…聞くけど、貧乏神なの?」
「え?言ったじゃないですか~ほら、免許証」
そこに映っているのは同一人物の写真と、その詳細がのっている。
「嘘だろ…おい」
「それとデスネ、さっき助けてくれたお礼、いつか返しますヨ。」
「あ、あぁ」
“風味翔香 貧乏神”
俺はこの言葉を1度たりとも忘れはしないだろう。
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「ここが学校デスカー。大きいデス!凄いデス!」
「あ、翔香。」
「?何ですか?」
「自己紹介があるんだが、そこで貧乏神なんて言うなよ。」
「何でですか?」
「いや、神がここにいたらまずいだろ。」
「はぁ~…そうなんデスカ。分かりました。」
一つわかったことがある。天然だな?コイツ。
「職員室は向かって右にあるから。」
「ありがとうございますデス!」
「うん…いや、俺も行くよ」
そう言えば、遅刻をしていた。その事情を教師に伝えないといけないため職員室に同行するが、ウロチョロしすぎだろ!コイツ
「はぁー。犹。これで遅刻は何回目だ?お前は成績がいいから何とかなるが、このままだと単位落とすぞ?」
「仕方ないじゃないですか!この子助けようと思って…」
「助けるのはいいが、誰が遅刻しろなんて言った?警察呼ぶか、学校に連絡するか考えろ」
「はい…」
やっぱりいい事はない…
「あのーせんせぇー」
「ん?なんだー?」
「私は…何をすれば良いのでしょうカ?」
「あぁ、ついて来い。」
俺達は教室に行った。
「ここは?」
「お前の勉教する部屋、教室だ。」
「ここが教室!これは…?」
「あ!そこは」
ガラッ
その音は教室に響いた。皆唖然とし、数秒後には「あの子誰?」や、「例の転校生じゃね?」等と、話し始めた。
「コホン!今日新しくここの生徒となる、風味翔香ちゃんだ!訳あって、遅れたが皆仲良くしてくれ!」
俺は席についた。
「犹、犹!あの子可愛くね?」
俺の前のモブ(笑)が喋った。
「あぁ、そうだな」
俺は異性の体に興味は無かったので、話を流した。
だが、あの時助けた時や、学校に行く時、職員室で話してた時、格好よいと思った。今もそうだ、遠くから眺めても綺麗だと想ったが、当然性的感じさせるは感じさせられない。
「んーじゃあ、犹のとなりが空いてるか。そこ座りなさい。」
(はぁー今日は1段と寒い。外が見えないじゃないか。)
「はい、分かりました。」
(まぁ、どうせ隣居ないし楽だからいいんだがな)
「犹羨ましいなぁ」
(…ん?なんだ?甘い香りだ。菓子作りでもしてんのか?)
「失礼します。」
「うん…」
(甘い。と言うか、何故か盛り上がってるな~……あれ?可笑しいぞ?俺には隣の奴なんて居ない。夢か?そうだ、きっと…いや、ほっぺを抓ったら痛い。)恐る恐る見ると…
「よろしくね」
風味翔香…いや、貧乏神が座っていた
「可憐な乙女は貧乏神!?」お手に取って下さり、誠に光栄です。
本作品では、貧乏神と言うお題から考えさせて頂きました。私自身語彙がないので、上手く小説にまとめられるか分かりませんが、これから精一杯勤めさせて頂きます。
又、この作品以外に「僕と私」と言う作品もあるので、そちらもご覧になってください。