未知との出会い
「ごめん、ごめん。そんな驚くとは思わんかったんや。
堪忍してな。」
おっさんはあたまをポリポリとかきながら、
意外に白い歯を見せて笑いながら言った。
足元を見ると、ベンチの下に破れた新聞紙がくっついており、
どうやらさっきの音はこれを破って出てきた時のものらしい。
ベンチの下部に貼られた新聞紙について、
今まで業者がペンキを塗った時の名残かなんかと思っていたが、
どうやら自分でこれを貼って目隠しをし、ベンチの下に寝転んでいたらしい。
この人の存在に声をかけられるまで気づかなかったのはそのためだろう。
全く人騒がせな。
「それでなんやけど、とりあえず降りてきて座らんか?」
そう言われて自分の状況を確認する。
現在ベンチの背もたれの上部に腰掛けており、
落ちないようにベンチの裏側を両手で掴んでいた。
足はベンチの腰掛けの部分にあるが、半分浮いていた。
どんだけ怖がっていたんだ、俺は。
「あ、す、すいません。今降ります。えっしょっと。」
冷静な指摘に恥ずかしくなり、ベンチの前に飛び降りた。
顔をあげて、おっさんを今一度落ち着いて観察してみる。
手入れをしていなさそうな長髪に、ぼろぼろの格好。
やはり公園に住むホームレスのようだ。
ただしコートの中に着ているのはワイシャツは新品に近い感じで、
よく見るとそこまで不潔な感じはしなかった。
「ま、とりあえず座りーな。」
じろじろそちらを見て固まっていた俺に
おっさんはそう言った。
「あ、ああ、分かりました。失礼します。」
相手が立っているのに、座るのもどうかと思ったが、
こちらがベンチの側にいる以上仕方がない。
ベンチによじ上った際に落ちた土を払って、
足を揃えて腰掛けた。
「ははは。そんなかしこまらんといてーや。
ま、こんなおっさんにいきなり話しかけられて、
ビビるのは分かるけど。もっと楽にしてや。」
両足を揃え、前屈みになって緊張している俺の姿を
おっさんは笑いながら揶揄した。
「あー、はは。すいません。」
指摘されて自分の格好の滑稽さに気づいた俺は、
足を少し開いて、姿勢を楽なものにした。
初投稿になります。
気に入っていただけたら幸いです。
感想や誤字等の指摘がありましたら、よろしくお願いします。
音の正体が明らかに。