Raven III
「ちわーっす」アレックは明るい声で挨拶した。
寒い外からいきなり入ると結構熱く感じた。暖炉には火が燃えていて、辺りをオレンジ色に染めていた。部屋の反対側には大きな木製のデスクがありお洒落でダンディーなランプが置いてある。
「ひさしぶりだな」デスクで座っている男が言う。
「ちょっと用があってね」アレックは笑顔で答えソファーに座った「調べて欲しいものがあるんですよ」
「今度は何だ」
アレックは鞄から厚いフォルダーを出すとデスクに置いた。
「ルーフス・レビングス。レビングスホールディングスのトップでこれによると麻薬組織の中でもかなり力があるみたいです」先日、クライアントのスミスにルーフス・レビングスに関する全ての情報まとめ、街の中心部にある教会の隅にある懺悔室の横に置いていくよう指示した。それをアレックは拾いこの「情報屋」のウィルソンに持ってくるのである。
「俺はここにあるもの以外の情報が欲しいんです」
「裏の方か?高くつくぞ。スケジュールとか日課はすぐ入るが」
「大企業の人間ですよ。もし何らかの陰謀でクライアントが嘘をついているならルーフスさんは可哀相でしょう?」
「アンタらしいな」ウィルソンはフォルダーを手に取り開いた。「来週来い。今は依頼が少ないから先にやってやる。料金もそのときで」
「分かった」アレックは立ち上がった。ウィルソンはページをめくりながら言った。
「本当はアンタでも出来るんじゃないのか?コネとカネはあるんだろう?」
アレックは振り返った。
「顔を覚えられると色々と面倒なんですよ」
「面倒臭いだけだろう」
「そういうことですね」アレックはそう言い、ドアを開けて出て行った。
・・・・・・・・・・
携帯を見るとソフィアから着信が来ていた。明日バーで行われる貸切パーティーの品が届いたのだろう。誰かの誕生日パーティーらしいが、食べ物・ドリンク・テーブルなどの用意は全てアレックとソフィアの二人でやらなければならない。
アレックはため息をついて、歩き出した。
書いたヨン★