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ロリに出会ってしまいました

 結局あの日は過去二十年の中でもトップクラスに泣いた日だと思う。

 ほんと、いい大人が何してんだか。

 そう思うがやっぱり魔法を諦めろなんて酷過ぎる。


 前世でも勉強とかいうものですらスタートラインは皆平等だったのに、こっちの世界ではそれすら見させてくれなかった。

 ある意味この世界は残酷なのかもしれない。

 それこそ努力で何とかなる前の世界より。


 あー、クソつまんね。

 転生とかいう普通の人とは違う状態何だからもっと何かあって良いじゃないか。

 もしかしたら俺TUEEEの裏にはこんなことが隠れていたのかもしれない。

 刺激は沢山あるから退屈はしないけど...ね?

 やっぱり魔物を魔法で倒したかったよ。

 襲われていた人を魔法で助けてカッコイイ!

 そしてそのお礼を断って立ち去ったら助けた人が令嬢だったとかさ!

 まあ考えるだけ無駄だけれども。




 半ば諦めながら、前2日間の活発さとは打って変わってボケーっとしていたら、玄関の方からノックがした。

 何だろうと思ったので覗いてみると、誰かが挨拶に来たようだ。

 気になるがこれで何もなかったら心が折れてしまうのでボケーっとしたまんまでいる。

 あー、いきなり能力とか出てこねえかな。

 そしたら頑張れんのに。


「ルイス。挨拶しに来なさい!」


 と2階まで聞こえるような大声で呼ばれた。

 無視するのもあれだし少し気になってはいたので大人しく出て来る。

 そうしたら、一人は前世の自分より少し年下で母親と同年代だと思われる金髪の女性と、引き連れられて来たであろう今の自分と同い年ぐらいの明らかに金髪の女性と似ている部分のある女の子が現れた。


「最近モスロからここに引っ越してきました。ヒャマイダと言います。そしてこっちは娘のミイナです。」


「はじゅめまして。みーなです。」


 最初の挨拶ぜっーて噛んだよな?

 まあそれは良いとして、これは世間一般でいう幼馴染との初遭遇イベントか。

 チート能力はない癖にこういうイベントは用意してるんだな。

 まあ良いけど。


「ルイ...ルイス!挨拶しなさい。」


 完全に考え事をしていたらこっちに挨拶を求められていたことに気づいた。


「すみません。ルイスと言います。」


「まあ。しっかりしている子じゃないの。」


「いえいえ、私の子なんて無駄なことばっか考えて返事なんて禄にしなかったんだから。」


 おーい。それってうちじゃなくて前のルイス君じゃないですか〜?

 まあ、考え事をしていたのは事実だしもうちょっと今は会話に耳を傾けてみるか。


「この年でいっぱい考えれるなんて良いじゃないですか。私の娘なんてまだまだ。多分今している会話の意味もわかってないと思うわ。」


「私の子だって多分そうよ。あらすみません。話が脱線しましたね。」


 人の悪口を目の前でたくさん言いおって。

 全部わかっとるわボケナス!

 まあ子供なんてこんな言われようだろう。

 我慢するとしよう。


「いえいえ。また後で沢山話しましょう。それで、最近ここに引っ越して来たので挨拶をしようと思いまして。」


「そうなのね。モスロ大陸って言っていたけどわざわざ何でここまで?」


「それが、毎年住んでいた一帯が雪で覆われてしまうんですけど、この子ももう学校にいかないといけないから便利なウエストポリスまで来たんです。」


「大変ですね。もっとお聞かせ願いませんか?」


「でも、子供が...」


「そうね。ルイス、ミイナちゃんと一緒に外で遊んできなさい。」


 いやいやいや。いきなり外に出て遊べと?

 まだ外にすら出たこと無いのに?

 いや、これはチャンスと捉えるべきだ。

 滅多にない機会だと思おう。


「分かった、お母さん。ミイナちゃんと遊んでくるね。」


「ミイナもそれで良い?」


「わたしはいいよー」


 ハイというわけで、幼女から許可を頂けました!

 中身の年齢的に犯罪者確定です!

 社会的に死にました!

 いやまあこの世界じゃまだ三歳な訳だしそんなにモラルが厳しい世界じゃ無いだろうけど。




 という訳で、前世では捕まるような構図が出来上ってしまったのだが、3日間一切外に出てなかったのでまともに外を観察できるのはこれが初めてだ。

 本来なら、うわー前世より衰退してんなーなんても思うかもしれないが、世界地理の本を見た時に、一番最後のページに住んでいる街のマップがあった。

 どうやらこの街は王都アマルスア。

 いや王都って。

 普通最初はどっかの領地とかじゃないの?

 最初から主人公が乗り込む場所じゃねえか。

 じゃあこの家結構なボンボンじゃね?


 確かにご飯もだいぶな改良の余地が必要な程でもないし、量も申し分ない。

 パンは歯が折れそうなぐらい硬かったけど。

 家も二階建てだし石造りだ。

 まあ貴族じゃないって時点でめっちゃ良いとは言えないけど。

 右も左も分からない上体でスラム街の子供に転生することに比べたらめちゃくちゃ良いだろう。


 そんなことはさておき、ここは王都なのでやっぱり栄えてるのだが、それでも前世のビル群に比べたら見劣りする。

 まあ、科学技術じゃなくて魔法が発達してそうな世界だし、あのビル群も前世の中ではひと握りだ。


 それを考えるとやはりこの王都はこの世界基準で見るとかなり大規模だ。

 前世の地方中枢都市の規模だから結構大きいとは思ったけど。


 この街の様子はそんな感じだな。

 まあまずはミイナちゃんの行きたい場所を聞いてみよう。

 おすすめの場所とか分かんないしな。


「ミイナちゃんはどこ行きたい?あったら教えて欲しいんだけど?」


 悩んだ末に結論が出されると思っていたが、予想以上にすぐに答えが返ってきた。



「きょーかいにいきたい!」


 おいおい?

 ここまで来て宗教か?

 あ、そういえばミイナちゃんはモスロ大陸から来たからか。

 ということはモサラ教を信仰しているので間違い無いだろう。


 前世なら子供に宗教を強制させるなんてやべえな。とか思っていたかもしれないが、今の状況ではまあファンタジーな世界だし...といって納得がいく。

 そもそも日本に生まれてきたことで生まれた感性なのかもしれないが。

 しかも、ミイナちゃんが目を輝かせて、


「さいしょみたらおーとのきょーかいってすっごくおーきかった!もっかいいきたい!」


 と言ってくるもんだ。

 そこまで言われて連れてかない馬鹿はいないだろう。

 ていう幼女の頼みを無視するやつなんて自分のポリシーに反してしまうからな!

 そもそも前世では幼女に頼まれることなんて無かったけど...これ以上は悲しくなるからやめておこう。


「じゃあ教会に行こっか。付いてきて。」


 教会の位置はマップの中にもだいぶ大きめに書かれてあったから嫌でも目に付いた。

 恐らくこの大陸もモサラ教が結構広まっているんだろう。


「やったー!」


 無垢ですな。

 可愛すぎて死ねるわこれ。

 こりゃ犯罪者が生まれてもしゃーないもん。

 いやいや私はしませんよ?

 ただちょっとね?




 歩いて二十分程かかってようやく着いた。

 あれ、おかしいな。

 大体あの距離だと十分もかからないと思ったんだけど。

 もしかしたら転生したから体力とか諸々も一緒に子供の頃に戻っているかも知れない。

 前のペースで物事考えてたらヤバいかもな。

 ていうかそもそも体力つくりしていかないと。

 前の世界とは違って肉体労働が必ず絡んでくるから体力は上げといて損は無いだろう。

 社畜でロクに運動もしていなかった人に出来るかどうか怪しいけどな!


 そんな感じでこれからやることを取り決めていたのだが、


「やっとついた〜!つかれたからきゅうけーしたいからなかはいろ。」


 と言われた。

 幼女の話を聞かない馬鹿は存在しないからな。

 すぐに入らせていただきます。

 ただ一つこれだけは言わせてほしい。

 ミイナちゃん全然息上がっていないんだけど!?

 どうなってんじゃこりゃ。


「そうだね。入ろっか。」


 という訳で教会の中にお邪魔させていただきました!

 さて、なにか金目のものは...何が高価かわかんね。

 まず最初に目の前に現れたのはおっさんと犬の銅像であった。

 何故におっさん?

 こういうのって神々しい男の神様とか女神様とかじゃないの?


 頭の中をグルグルしていたのだが、


「教祖さま!こんにちは。」


 とミイナちゃんがそう言っているということは教祖なのだろう。

 何故に犬なんだろう?

 もっとこう、なんか強いモンスターとかじゃないの?


「こっちにほんでんがあるの。教祖さまにおいのりささげることがいちばんだいじだからいっしょにしよー。」


 うんうん。


「良いよー」


 ふたつ返事で受け入れた。

 僕ちん根っからの無神教だけどミイナちゃんが言うことならおじちゃん張り切っちゃうよ!

 もう魔力なんていくらでもサービスしちゃう。

 魔力の色なんて一切ない悲しい透明だけどな。


 返事しながら思ったのだが、初めて来た場所の作りなんて分かっているんだろうか?

 こんな可愛らしい幼女に道案内をさせるなんて心配だ。

 信用していないってことじゃないけどさ。

 まあ自分自身も場所なんて知らないんだしここは一旦ミイナちゃんに着いていこう。


 それにしてもこの教会老若男女全員いるな。

 流石に三歳児はいないけど。

 てか今の状況って保護者いない子供二人だけど大丈夫なのか?

 まあここまで来たし教会まで来てカツアゲしてくるやつなんていないだろうから問題ないだろう。

 ちなみに、この街の治安なのだが、大分良い。

 路地裏に入らなければ子ども一人だけで歩いていても拐われないぐらいには。

 王都だし警備隊とか軍隊とかが結構歩き回っている感じだ。

 そりゃ犯罪者もやりにくいだろう。

 えっ、お前は幼女を連れ回している犯罪者じゃねえかって?

 子供なのでノーカンってことで許してくれませんかね...。


 中に入っていくといかにもthe教会という感じの椅子が並んでいて真ん中に祭壇がある感じの場所があった。

 ここでお祈りをするのかな?

 異世界でも結局ただ単に祈るだけかー。

 もっと祈ったらなんかすげーやつが出てきたりする系のやつじゃ無いのかよ普通。

 愚痴っていたら何故かミイナちゃんが椅子に座らずにそのまま祭壇の上に立っているの神父さんに声を掛けていた。

 少し話をした後、何かを渡して満足そうにこっちに戻っていった。


「よやくできたからじゅんばんくるまでまとー。」


 と言われてそのまま左右にあった椅子に座った。

 予約って何だろう?

 もしかしてさっき渡していたのってお金だったりしない?

 大丈夫なのか?

 もしかしてその後おかねちょーだいされたりしない?

 ミイナちゃんの頼みだったとしても無いものはあげれないよ!

 まあそれは終わってから母親にせびればいいか。

最初に泣いたと言っている割にはあまり落ち込んでいないのは、その後に幼馴染イベントが発生したからです。

それがなかったら結構精神状態やばかったかもしれない。

あと、教会と家との間に二十分かかったかといえばそうでもなくて、実際は十五分ぐらいしかかっていません。

子供の体内時間の遅さが原因です。

かといって体力が前より衰えているのは確かなのだけれども。

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