異世界に転生することが出来ました
ここも知らない天井だ...ってこんなこと言っても意味ないよな。
目が覚めると、またもや見たことない部屋にいた。
ただ、前みたく寝ていると勘違いするような実体があるかどうかも怪しい部屋ではなく、普通の部屋でベッドに横たわっていて寝ていた。
しかし、ベッドのシーツは日本とかけ離れていて、世辞にもきれいとは言えない。
しかも、シワシワになっているので余計汚く感じてしまう。
布団は遥か彼方へ飛んでいってしまい、昨夜の寝相がたいそう悪いことが一瞬で分ってしまう...ってこんな冷静に解析してる場合じゃないんですよ。
なんでさっきまで神頼みしてたのにこんな事になってるんですか?
本当に謎なんですけど。
はっきり言おう、めちゃくちゃベッド汚いんですけど!
クシャってなってんの余計無いんですけど!
寝相は悪い方では無かったので、この布団の荒れようには流石にびっくりですぜ。
そりゃ昔はあたしもおかんに膝蹴りアタックして肋骨をずらす技をしたことはありますけれどもこの暴れようは無いわー。
あーあ、あんときのお母さんの顔が引きつっていたのを思い出してしまったのでこの部屋はクソということで。
いやそんなよくわからないことを決めている時間があるならここがどこか考えてもらって。
必死に周りを見渡してみても、っていうか見渡さなくても、部屋が日本のような木造建築やコンクリートの家ではなく、中世のヨーロッパのようなレンガの作りの家であることが分かり、明らかに日本ではないことが確認できた。
そりゃこんな汚えもんシーツにしてたら日本だったら育児放棄で親ガチャ失敗パターンですぜ。
というかなんでこんな小説とかでしか見たこと無いシチュエーションになってるんだ?
もしかしてというかもしかしなくて...いや、決めつけるのは良くないだろう。
情報、情報をくれ〜!
情報くれくれ人間になって勢い良く体を起こそうとする。
すると、横着しすぎたのか
(よっこらしょ、ってうわあ!)
体が軽すぎて思わず回転してしまい、勢いがついてしまった。
ことになるならゆっくり立ち上がるべきだと思ったがもう既に遅し。
壁に勢い良く激突してお陀仏しそうな感じである。
おいおいおい、これまたすぐ死んじゃうパターンだったりする?
いやだ!
こんなまだ何もわからない状態で死ぬのは勘弁ですわ!
機転を、機転を利かせるんじゃ〜。
良いアイデアくれー!と思っていた刹那、すぐにもっとだめなものを見つけてしまう。
親方!前方にでけー鏡が!
こりゃまずいですよ!
あったら確実に割ってしまうだろう。
それしたらワンチャン時代によってはポケットマネーが全部飛んでってしまう可能性があるんじゃないですか?
それだけは絶対だめなパターン!
なんか機転を!
もう自分の身体は無理だ!諦めろ。
自分の身体は治るかもしれないけど鏡は治らないんだぞ!
あれこれすぐに考えたが、結局何も思い浮かばず、直ぐ目の前にあった鏡を避けるために右側に体を捻った。
その結果、右にそれて鏡にぶつかるのは回避したが、壁にはきちんと激突して頭を打ってしまった。
激痛!
なんでこんなに痛いんですかよ!?
「いてて...ってうん?」
あまりの痛さに声が出てしまったが、その声は二十代後半の声ではなく、明らかに幼年期の男子の声であった。
あれ?なんか変だぞ?
おかしいと思い首を傾げていたら、壁に激突した反動で鏡が倒れかけていた。
あー!そんな疑問に感じてる暇は一切無かった!
もう身を挺して守るしか無いから地面と鏡の間に割って入るしか無い!
そう思い鏡の前に立ったのだが、その時に自分の全体像が写ってしまった。
「これ、誰?」
もしかして、自分だったりしちゃうパターンだったりする?
思わず声に出てしまったが、はっきりと、間違いなく子供の声だった。
困惑するのも無理はない。
なぜなら、前に立っていたのは見覚えのあるこれといって取り柄のない成人済みの男性ではなく、三歳児ほどの小さな子供であったからである。
あんぐりしていたら、鏡に頭をぶつけてめちゃくちゃ痛かったのは内緒である。
鏡を守れたから何でもヨシ(?)!
まじかよ。
そりゃ転生したいとは言ったもんだけどここまで遡るとは思わなかったわー。
と思わぬ若返りにびっくりしたが、これでも前世ではオタクしてたもんで。
すぐにワクワクが湧いてきた。
一度は考えたことのある転生。
それがまさか我が身に降りかかろうとは...いや神スギ!
頭がズキズキしてるのはクソすぎ!
本当にこんなもん子ども部屋こんなもの置いちゃいかんでしょ。
親はどんな教育してるんですか!
許さんぞわしゃ!
設置者を責めながら今さっき見た男の子が自分であることを再確認するためにもう一度鏡の前に立つ。
やっぱり違う。
でも自分。
あんまり前との面影が一切ないんだけれども。
なんかこの感覚めちゃ気持ち悪いんですけど!
髪の毛は灰色、目は青色で身長は年相応であり、顔はこの年ならではのカッコイイというよりかは可愛いの方に軍配が上がりそう。
こりゃショタコンホイホイになっちまうな。
そういう風に二度目にまじまじと観察して出てきた感想は自分でもドン引きなレベルのキモさだった。
(うーん。目の色は良いけど髪の毛はもっとこう黄色とか青とかそこら辺のやつであってほしかったな。)
やはり誰だって地毛がカラフルであることに憧れたりすることがあるはずである。
あんまり変わっていない髪の毛の色に愚痴をたらしていると、ガチャリとドアが開く音がした。
ビクッ、っとなんてなってないんですから!
そんないきなりドアが開くと思わなくてびっくりなんてしてないんですから!
って誰に言い訳してんだ?
「ルイス、何してるの!頭打ったみたいだけど大丈夫なの?」
いきなり目の前に知らない自分より年下だと思われる人物が現れた。
どう考えても今の状況じゃ年上だけどな。
こりゃ絶対このタイミングといい母親確定だろう。
直感もそう言ってるし。
ということはこいつの名前はルイスっていう名前なのか。
自分の名前もか。
名前わかったのは結構デカいぞ!
そんな風に考え事をして何も言い出さずにいると、心配したのが馬鹿だったかのように、
「まあ、暴れる元気があるってことは一旦熱はひいたってことね。
さっきまで寝てたのにいきなり元気出しちゃって。
まあまたボケーっとしてるってことはまだ疲れてるってことよね。
今の内に夜ご飯置いとくから食べておきなさい。
お母さん今日は仕事終わったから一階で家事しておくから。
何かあったらまた教えてね。
分かった?」
ははっ、と小馬鹿にされたような感じで言われてしまった。
暴れる元気があるって何なんだよ!
こちとら最大三十連勤の最強の社畜だぞ!
なんて心の中で最大限に威張り散らかしていたが、地味に有り難い状況説明を貰ってここから今がどういう状況なのか推測出来るってもんだ。
推測できるならこっちのもんじゃい。
こんな状況何回夢見たか分かんねえんだから推測も状況把握も余裕のよっちゃんいかよ!
はいじゃあまず一つ目のツッコミポイントなんですけど、夜ご飯置いとくからって言ってるってことはもう夕方かよ!
確実に確認すべきだったが、外はもう暗くなってきている。
そんでもってこいつは風邪を引いてベッドの上で休養していたということか。
そんでもって一日中呑気に寝てたと。
良いご身分ですね!
こんなこと前の会社でしてみろ?
ボコボコにされても文句は言えねえぞ?
とか思ってるけどこの子まだ小学生にもなってないんだよね。
じゃあまあしゃあないか。
昔は昔、今は今だ。
切り替えていこー。
というわけで、返事も切り替えていきたいんですけど、子供になりきるって結構難しくない?
まあ今回に限っては難しさのレベル1ぐらいだろう。
普通の返事しときゃ許されるでしょ。
とか言ってますけど、よくよく考えたら普通ってなんだ?
普通の返事とは?
ヤバイヤバイ、こんなクソみたいなところで転生バレするとか洒落にならない!
ほらー、めちゃくちゃ心配そうな顔でこっち見てきだしてんじゃん。
ヤバいって!
あー、分かんね。
数秒ほどこんなことに悩んだ結果、結局、
「分かったよ。お母さん。
今日はご飯食べ終わったらもう寝とくね。
おやすみなさい。」
と出来るだけあたりざわりがない返事になってしまった。
この声がいつもより高いのは違和感があるが、いつか慣れるだろう。
ちゃんと返事ができたのに安心したのか、
「大丈夫そうね。
それじゃあ、ルイス、おやすみ。」
そのことを伝えた後、元いた一階に戻っていった。
計画通り!
ニヤニヤが止まらないぜ!
そんな悪いことをした訳じゃないが、なんだかニンマリしてしまう。
おいおいそんな簡単に人の言う事信じちゃいけないんだぞ。
習わなかったのか?
と自分が騙したくせに信じることについて語ってしまっている。
あれもこれもテンションが高いのが悪いってことで。
まあなんぜそういえばめちゃくちゃ心配されていたのもちょっとだけ気になるな。
今の自分は元気なんだけど前が酷かったんだろうか。
いや多分過保護なだけだろ。
ヒステリックなママさんだったということで。
まあそれくらい心配されていたほうが次は社畜にならなくて済むかもしれないが。
そういえば髪の毛の色ってルイスの母親は薄い紫だったよな。
あんまり前世では馴染みの無い色ではある。
あっ、染めてる奴は別ね。
でもどうせならなんか前とは違う色にしてほしかったよね〜。
自分に関しては普通に前世でもそんなに違和感のない灰色だったというのに。
変わり映えしないのはあんまり面白くないじゃん!
ついでにこっちの方も紫にしてくりゃよかったのに...と思ってしまった。
でもこれで前の世界とは全然違うことはあることがほぼ確定する。
そうすると剣と魔法系があるのかもしれないんじゃないですか?
というわけで、ファンタジー系のラノベじゃお決まりのパターンであるあれをしようと思う。
ステータス、オープン!
って何も無いぞ。
どうなってんじゃこりゃ。
お決まりのパターンは消えちまったのか。
いでよ!ステータス!
そんなダサいのは流石にないか。
よくあるステータスがいきなり見える系は無かったか。
あれあったらちょっとシュールで面白そうだと思ったんだけどな...。
まあ次は能力が使えるか試してみる。
なんかこういきなり開花しちゃわない?ほら。
適当にうぬぬ〜とかおりゃ!とか適当にしてみる。
しかし本当に何も出来ない。
こういうのは無かったパターンか。
まあそんなので出来るなら人生楽勝か。
あれ、でも普通の主人公ならここで壁破壊とかして家族を集める事態とかになってない?
これ、もしかして理不尽転生系のパターンだったりしないよね?
いやいやまだそれを決めつけるには早すぎるか。
でも、やっぱり直感で楽してチートとかはないってことは、頑張って詠唱とか原理とか覚えて魔法を使えるようにならないといけないか。
それは面倒くさいわ〜。
そう考えたらステータスが見えるって結構便利な部分だったのか...。
まあ無い以上切り替えていこう。
これでもし、ただの色が違う髪の人がいるだけの文明が退化した世界とかだったら...いやそんな最悪のパターンは考えちゃいかんよ!
あー、でもこの状況なら有り得そう。
なんか気分がどんよりしてきたわー。
ていうか今の状況ならその可能性のほうが大きそうだし。
ちょっと気分を落としながら夕食に出されていた中にあるパンを食べた。
硬い...ちょっと歯がかけたかもしれねえ。
飯も美味しくないとかまじでデバフしか無いのか?
なんか他にも前世とは違う部分プリーズ!
本当に頼むって!
ルイス君の見た目。
髪型 灰色。
見た目 意外とイケメン(異世界は全体的にイケメンが多いのでその中だと普通)ただし、カッコイイ系ではないので要注意。
感じ 陰キャっぽさが残る感じ。前世の影響でちょい猫背、一応成長過程で治っていく予想
背 普通。本当に170位になる予想。
適当に書いているので何か気になることがあれば教えて下さい。