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プロローグ

3月中盤までは最低でも週一投稿で行かせて頂きます。(もしかしたらもっと投稿頻度が上がるかも。)

 朝というのはとても憂鬱なものである。

 起きるのしんどいしこれから特に楽しくもない一日が始まると考えたら...気分がどんよりしてきた。

 しかも昨日のニュースでは大寒波が来てるらしい。

 この寒さで布団に出ろなんて命令された暁には人殺し!と言いたくなるものだ。

 そのような気持ちは自分には痛いほど分かる。

 だからといってさ...。

 何でこいつ起きないの?

 あの、自分で自分のことをツッコむ日が来るとは思わなかったわ!

 いくら会社に行きたくないからってそれはないじゃん!

 おーい、自分こと漣優(さざなみゆう)さーん。

 早く起きてくださいね!

 電車に遅れたらあなたの責任なんですよ!

 ていうかあなたが昨日やらかしたせいで1時寝5時起きなんですよ〜。

 ファイル消した責任どう取ってくれるんですかね?

 はい自分のせいですみませんでした。

 でもやらかしたことには変わりはない。

本当に憂鬱だわー。

まああれもこれもファイルを誤って消すぐらい仕事していたのが悪いんだけど。

はあ、やり直せたらな〜。

 まあこの感じ災難が降り掛かったってことなんですよ〜。

話せば長くなるかもしれないけど、何故か全然起きないしいっしょ。

 それじゃあ、私の愚痴を、聞いて下さい。


 自分自身、正直な話これといって特に得意なことはなくて、平凡な道を歩いていたはずだった。

 だったんだけどね...

 道を踏み外した挙げ句蜂の巣に足を突っ込んでしまったのは大学四年の頃だった。

 他の人達が三年の始め頃から準備し始めているのにも関わらず、一人だけ四年になったら本気だーすみたいな感じでいた。

 まあ要するに就活をサボりにサボりまくってしまっていた、という訳だ。

 サボってしまったらあら不思議、全然内定がもらえない。

 あんときゃすっごくビビったね。

 本当にニートになるかと思った。

 判断ミスとかいう平凡という道を外しまくっていたが、最後の最後に内定通知が来た。

 思わず会社の内容とか見ずに入ってしまったけど、飛びついた先が蜂の巣だった。

要するにブラックだったてことだね。

気付いたときには既に遅し。 

 そこで平凡という道は完全に途切れてしまい、フリーな時間は出来ず彼女は出来ず...ああ、思い出すだけで涙が。

 今なら絶対後悔するから就活をしとけよ!と過去の自分に反省しろパンチを食らわせてやりたいのだが。

 いや確かに動き出すのは遅かったけどまさかグレーとかじゃなくてこのご時世にブラックって、本当におかしいだろ!

 まあ責任転嫁をしても意味はない。

 実際自分のせいだし。

 それにしてもあれはめちゃくちゃひどかった。

 残業は当たり前。

 何度か泊まり込みも経験はしたし、その癖給料は一般の平社員と同じ位。

 ハッキリ言ってゴミ。

 あの頃のクソみたいな仕事量は家で引きこもっているニートに見せてやりたいぐらいである。

 それにしても...こんだけ話してたのに全然目覚めないな。

 お往生際の悪いやっちゃ。

 いつまでも夢の中へいてても意味ないから。

 夢の国じゃなくて現実見ようねー。

 あれー?全然目を覚まさないよ?

 というかそもそも目が見えているの?今。

 話をし続けていたのですっかり気付かなかったが、もう既に目が開いていた。

 顔をペタペタ触ることが出来るし、ジャンプも出来る。

 ほっぺをつねっても痛みが感じられるのだ。

 あれあれあれ?

 もしかして現実が見えてなかったのって自分の方?

 いやまあどっちも自分だけどさ。

 アホだと思われてもいいが、目が覚めていないと感じるのも無理はなかった。

 だって、一面ワケが分からないレベルで真っ白だったんだから。


 まぶたは開いているはずなのに真っ白い場所しか無い。

 いつもの出社前に入れるはずの枕元のお守りことエナドリ様はどこへ行ってしまったのだろうか。

 まじであれ無いと徹夜の作業間に合わねえんだよな...。

 というかそもそもなんでこの場所にいるんだ?

 なんかすればここから出られるのかな?

 こういうときは助けを呼んだら誰か来てくれるってラノベに書いてあったはず。


 ヘルプ・ミー!


 うん。

 声になってるけど声になっていない感じがするし、全然女神みたいな奴も来ない。

 おーい。

 せめてここでどうすればいいか教えてくれないか?

 誰か!本当に頼むって!




 もしかして、これ死んじゃったパターンなのでは?

 数分経ってようやくこの事実にたどり着けた。

 まあ過労死ライン超えまくりの三十連勤だった訳ではあったしなんか前日体めちゃくちゃだるかったし。

 ていうかそれが多分理由だろ。

 休みたかったけどこういう時に休みたいって言ったら言い争いになった挙げ句逆に残業増やされたりするんだよな。

 あんな会社に勤めてるとかほんと...ん?待てよ、死んだってことはもうあの真っ黒企業に勤めなくても済むってことか!?

 こりゃもらったわ。

 もう二度とあの残業のデスマーチを受けずに済むことに喜んでいたのだが、ある自体に気づいてしまったのだ...。

 そもそも死んだってことはもしかしたら消えちゃう可能性が無きにしもあらずなんじゃ無いの?

それはとっても困る!

 休みがもらえて嬉しいとか浮かれてる場合じゃなかった!

 そもそも存在が消えてしまったら元も子もないじゃねえか。

 最後ぐらいあのブラック企業を恨まずに逝かせてくれよ...。

ってもう死んでるか。


 いきなり不安にかられたので、ジタバタそこら中を駆け巡る。

 そうしたら何かあるかもしれないと思ったからだ。

 うーん。何も無いし自分が動くたびに部屋が移動していっている感じ。

 どうやっても無駄じゃねえか!

 ブラック企業許すマジ。

 もしかしたらこれが最後の感覚になるかもしれない。

なんか走馬灯みたいな奴が最後に流れてくるはず...。

 クソ、こういう時は大体特別な日を思い出すはずだろ!

 なんで平凡な日ばっか思い出すんだよ!

って走馬灯だから平凡な日を思い出すのか...ってそんな冷静になってる場合じゃないんだよ!

ん?別の記憶の塊が来たぞ?

おっ、遂にちゃんとした走馬灯(?)が来るぞ!

こんな走馬灯でワクワクしても意味ないんだが。

 これで未練なく成仏できるなら御の字だろ!

じゃあ最後の記憶を...ってこれ中、高ってなんか自分が才能あると思ってがむしゃらに色んな事やってた時期じゃねえか。

 こんな時まで嫌がらせしてくるとは神様はいないと言われるのも無理はないだろう。


 しかしこう見ると何も出来ずに終わっちまったな、自分の人生。

なんか残そうともしてたのを思い出したけど悲しむ人がいるかも怪しいもんな。

 後世に何も残すものがあれば...あっ、死んだことであのブラック企業は潰れるか。

 いやそんなのは残した内に入らないだろう。

 死ぬまでにしてみたいことは沢山あった。何も叶わないまま死ぬのは辛い。

 でも不思議となんにも悔しさは残らないんだよな。

 いやブラ...以下略には恨みは募らすけど。

 所詮人生はこんなものだろうと諦めをつけれるぐらいの理不尽にあってしまったのかな?

 さっき見たので思い出したが、昔は自分自身も何かしら特別なものを持っていると思っていた時期もあった。

 高校生の頃、なにか一つぐらいは才能があるだろうと思い、動画配信者と投稿者、プロゲーマー、漫画家、ラノベ作家などを目指していた時期もあった。

 結局何一つそもそもやり遂げることなく才能が無いと決めつけて終わらせてしまった。

 もっとなにか一つあればなんて思っている時点で考えが甘かったのかもしれない。

 もっと真剣に普通の道を歩むために勉強に打ち込んでいれば、少なくとも社会の歯車となって生きることはなかったのかもしれない。

 けれども、そんなことを悔やもうがもう遅い。


 あー、何かもっとすりゃ良かった。

 せめてあの会社辞めるくらいの気力見せときゃなんか未来は変わったのかもな。

 これから消えてしまうのかもしれない。

 そう考えるとさみしくなり、不意に涙が出てきた。

 はあ、何泣いてんだろ。

 もうこうなりゃやけだ!


 神様。まだやり残したことが沢山あるんです。もう一度だけ、チャンスを下さい。


 苦しい時の神頼みというのだが、これはもはや瀬戸際の消えかけギリギリの神頼みであろう。

 そんな願いを嘲笑うかのように今までちゃんとあった自分の体が薄くなっていく。

 いや、自分の神頼みは!?

 なんかせめてもうちょっと余韻に浸らせてくれても良かったじゃん。

 もう何か考えるだけ無駄か。と諦めながら薄くなる体と途切れかける意識の中でもう一度だけ願う。


『生まれ変わらせて下さい。次は手を抜かずに名を残すぐらい本気で生きてやるんで。』


 こうして実態のない部屋はまた誰もいなくなった。

 漣優の最後の思いが伝わったのかは定かではない。

 ただ一つ分かることとしては、次に目が覚めた時には、きちんと実態のある部屋にいた。

自身の上げている作品の中では三作品目になりました。

今まで書いたことのないジャンルなのですが、温かい目で見て下さい。

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