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帳簿の付け方について・上

ビールにつられて続きを書くことになりました。

確定申告が複雑、面倒、というイメージになっているのは二つの理由があると思います。

一つ目は帳簿付けが面倒ということ。

二つ目は申告自体が面倒ということ。


二つ目については国税庁のe-taxのサイトが随分便利になったようなので、それを使えば割と何とかなるんじゃないかと思いますが、これについて詳しく書くと法に触れそうなのでここは触れません。

とはいえ、多分e-taxのサイトで入力方法については懇切丁寧にレクチャーしてくれるでしょう。


今回書くのは一つ目。つまり帳簿の付け方です。

なんか面倒、複雑、曖昧な点が多い、というイメージですが、これはパターン化でどうにでもなります。


ということで、僕の知人の兼業作家にやらせている方法を書いておきます。

参考になれば幸い。


---


まず最初に、所得はいくつかの種類があります。まあ一番一般的なのは給与所得でしょうか。

で、作家の印税収入については「事業所得」か「雑所得」にするか、のどちらかでしょう。


事業所得は、それで生計を立てられるくらいの稼ぎで継続的にしているもの、と考えてください。

それ以外は雑収入です。僕の知人の作家も雑収入。


事業所得は雑所得と比べて経費の集計をきちんとしなくてはいけません。

あと、書類に書く事も多いです。ただしその分メリットもあります。これは後述します。


所得とは収入からそれにかかった経費を引いたものです。


これは事業所得でも雑所得でも変わりません。

なので、どちらにしても必要なのは、収入の集計と経費の集計です。


---


まずは収入について。


作家業はかなり収入の管理がしやすい業務です。

というのは年末に必ず出版社が今年はこれだけ印税払ったよ、税金これだけ引いたよ、という証明書を出してくれるからです。


その元の金額を書いてください。手取りではない点に注意。

複数の出版社から印税を貰っているならそれを合計してください。

収入の計算はそれで終わりです。


同人作家でコミケとかに参加してたり、通販サイトとかで同人誌を売ってたりするともう少し話がややこしいのですが、これはあくまで小説家向けなので割愛します。


---


次に経費の集計です。

経費について考慮すべきなのは、「それが創作業に関わっているか」です。


例えば取材のために使った新幹線代が交通費か取材費かは、はっきり言いましてどっちでもいいです。

この辺は曖昧ではありますが、要するに自分なりの基準があればよいのです。


僕の知人はいくつかのクリアファイルを用意しておいて、領収書やレシートをそこに区分して入れています。

具体的にはこんな感じ。


・取材費

創作の為の取材をした時の交通費、美術館への入場料とか

・資料費

創作の為に買った資料の本や文献など。此処だけの話、趣味の本も入ってるでしょうね

・交際費

作家仲間や編集の人との会食、何か贈答品を買ったなら贈答品の代金

・交通費

タクシー代とか打ち合わせのための新幹線とか、滞在の為のホテル代とか。

・通信費

切手とかレターパック、原稿の送付代とか。

・備品費

パソコン関連の消耗品、紙、文具など。

・会議費

カフェやファミレス等で執筆したときのコーヒー代や食事代

・雑費 

分類不能な分。此処は余り大きくない方が望ましい。税理士事務所への支払もここに入る


これ以外だと


・外注費

自作のためにイラスト書いてもらったり動画を作ってもらったり、他人に仕事してもらった場合。

・車両費

取材に車両とかを使っているならそのガソリン代とか

・通信費

携帯電話、固定電話等の電話代。ただし作家業専用とかでないなら100%経費にはしない方がいいです 

・家賃

専業作家とか、創作活動を長時間やるような立場の人は家賃も経費にできます。ただし、自分の居住用の部分があるので100%は経費にできません。創作専用に部屋を借りてるとかならいいですけどね。


こんなところでしょうか。

通信費、家賃については作家業の分が何%という設定はかなり悩ましいのですが、ここでは長くなるのと曖昧なことを言うと混乱を招くので省きます。


で、基準に従って使った領収書をクリアファイルに入れていきます。

繰り返しになりますが、この区分は自分なりでいいのです。


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例えばグルメ系の小説を書くために三ツ星レストランで食事をした、というのは創作に関係ありますから取材費にできます。

体験は作品にリアリティを生むからね。


上のはあくまで僕の知人の区分であり、取材旅行に行った時の交通費を取材費ではなく交通費にしても一向に問題はありません。

取材費と資料費を合わせて取材関連費とかにしても問題ありません。上のはあくまで僕の知人がやってる参考事例です。


で、年の最後にクリアファイルの中の領収書を集計しそれぞれの費用を出します。

それぞれの費用を最初に計算した収入から引いて、残った分が作家業の所得になります。


これだけです。


---


ちなみに雑所得の場合はこの費用区分すら要りません。

創作に係った費用の領収書を全部クリアファイルに入れておいて合計しても問題なし。


そういう意味では僕の知人は此処までこまごまと分ける必要はないんですよね。

本人が区分して把握したいようなのでやってもらってますけど。


税務、会計という分野は複雑で、同じ事実であっても処理の曖昧さや解釈の余地があることは確かです。

しかし、作家業の確定申告や帳簿付けについていうならルーチン化、パターン化が可能であり、曖昧さはさほど入り込む余地はありません。


どうせやるなら簡単にやりましょう。




もう少し続きます。

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