注意書きと消費税の仕組みについて
インボイスについて兼業物書きの観点から少し論じてみます。
一応書いておくと、僕はとある企業の経理担当でインボイスもその絡みで勉強しました。
---
最初に立場を表明しておきますと、僕自身はインボイスは不要だと思います。
というのはここ4年間インボイスがなくても実務的には全く不自由がなかったためです。
あえて広範囲に手間とコストをかけさせて導入する意味ないでしょ。
免税事業者から新たに取れる消費税も、おそらく徴税コストと秤にかけるとあまり意味ないと思います。
ただ、すでに準備にかかった手間が膨大であるがゆえに導入されてしまうとは思いますけど。
これから書く内容はわかりやすさをかなり重視して書いています。なので厳密にいえば正しくないこともあると思います。それはご了承ください。
一般論をなろうで語っても仕方ないし一般論ならどれだけでもよい教材がネットにありますので、ここでは作家向けに書いています。
この文は嘘を書いているつもりはありませんが、信じてなんらかの不利益が生じても責任は負いません。
正確なことが知りたい人は専門家である税理士に相談してください。
〇消費税の仕組み
消費税は売上に関して受け取った分の消費税から、仕入れに関して支払った分の消費税を相殺して差額を納付する、と考えてください。
具体的に作家の立場で考えてみます。
印税を110万円もらったとします。受け取った消費税は10万円です。
取材費とか資料代とか経費に44万円使ったとします。支払った消費税は4万円です。
この場合、作家の納付する消費税は10万円から4万円を引いた6万円ということになります。
次に出版社の立場で考えてみます。
書籍の売上が550万円あったとしましょう。受け取った消費税は50万円です。
印税を作家に110万支払っていたとします。支払った消費税は10万円です。
それとは別に印刷代とか広告とか運送料で330万円支払っていたとします。支払った消費税は30万円です。
この場合出版社の納付する消費税は50万から10万と30万をひいた10万を納付することになります。
〇インボイスとは何か?
インボイスとは請求書の一形態です。正式名称は適格請求書。
インボイスの法的な位置づけは専門書を読むかググってください。
ここでは書きませんが、消費税に複数税率がある国では普通に使われているようです。別に日本だけが特別ではありません。
インボイスを発行するためには発行事業者の登録をしなくてはいけません。
インボイスを発行できないとどうなるか。上の例を引いて説明します。
作家が事業者登録をしなかった場合、出版社は印税にかかる消費税10万円が引けなくなります。
なので出版社の支払う消費税は50万から30万だけを引いた20万円になります。
出版社としては消費税の負担が増えるわけですね
とはいえ、この話は出版社の負担が絶対的に増えるんだ……と単純化はできません。
ただし、ここでその話を論ずると5000文字くらい字数が増えるので割愛します。
興味があったら聞いてください。暇あれば書きます。
ただ、出版社としては作家さんは事業者登録をしてインボイスを発行してくれるほうがいいのは間違いないといっていいでしょう。
---
インボイスを発行するためには上で書いた通り事業者登録をしなくてはいけません。
そして事業者登録をするためには、消費税の課税事業者でなくてはいけない。
ここがポイントです。
消費税は印税(売上)が1000万円を超えたら納税しなくてはなりません。それ以下だと免税です。
で、僕にこれを書かせた某兼業作家も含め、1000万越えの印税を得ている人はかなりレアでしょう、たぶん。
なので、おそらく世の中のほとんどの兼業作家さんは免税対象であり、消費税の納税をしていないはずです。
ちなみに、印税1000万を超える売れっ子さんは考える必要はありません。
普通に事業者登録してインボイスを発行すればいいだけです。
恐らく多くの免税の作家さんがインボイスを発行するためには、自分から消費税の課税事業者になることを届け出なくてはなりません。
そんな制度がなぜあるのか?わざわざ課税事業者になる奴なんているのか?と言う声が聞こえてきそうですが、そうした方が得なケースはあるのです。
でもここでは割愛します、関係ないので。
上でも書いた通り、出版社としては登録事業者であるほうがいいわけです。
印税の消費税が引けますからね。
ここで兼業作家は選択を迫られることになります。
つまり、消費税の課税事業者になって事業者登録をしてインボイスを発行するか?
それともこのまま免税でいて、インボイスは発行しない形でいくか。