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非モテ女子シリーズ

タニシヘアー~非モテ女子の挫折~

作者: まきお

 ()……。


 この天敵との闘いは、私が誕生して間もなく幕を開けた。



「なんだ、あの子? ずいぶん()()()()だなぁー。サルみたいだ」 


 ガラス越しに複数の赤ん坊の中から私を発見し、馬鹿にする男。

 その数分後……『自分の子供(しかも娘)だと知った時の顔は笑えた』と、後に母は語る――。


 乳児の頃からフサフサの髪と海苔を張った様な眉毛がチャームポイントの私は、常に男児に間違えられたそうだ。



 残酷にもこの現象は26、7才頃まで続くのだが、詳しくは前に書いた「女装キャラ~非モテ女子の苦悩~」を読んでくれ。



 さて話を戻そう。


『(親の)エゴだな……』

 

 この台詞は一枚の写真に収まるまだ幼い自分を、母と共に見返した時の感想だ。


 海をバックに3歳児の私が着ていたのは、白い水玉がプリントされた紺色のビキニだった。

 胸当ては丸く、ひらひらレースまであしらわれた可愛らしさ全快の無敵装備――。


 ただ思い出して欲しい。

 その装備主は「海苔眉毛」だということを……。


 しかも豊富な毛髪が原因で頭皮に湿疹症状が出ていた為、当時の髪型はまさかまさかの「丸坊主」だった。


 お世辞をいくつ重ねようとも、例え相手が幼児であろうとも、1ミクロも可愛いとは言えない私の姿が、目の前の写真にしっかり残されている。


「……」


 溢れ出る違和感。

 ある意味、幼児ながらも他人の視線を独り占めにした逸話は本当のようだ。


「(このポテンシャルで)何故にこんな水着を?」


「初めての女の子だったし、可愛くしてあげたくて……」 


 大人になった私の問いに対し、申し訳なさそうに白状した母。

 それ以上の追求はしなかった。しかしこの「毛」にまつわるコンプレックスが、私の青春をある程度蝕んだのは事実にほかならない。


 小学生時代――鼻の下や眉間(みけん)を支配しようと攻め込む奴らと、毛抜きで格闘した。

 

 中学生時代――腕毛を金髪にすべく肌に合わない薬剤をつけて、想像を絶する激しい痒みと足をバタつかせて戦った。


 高校生になり、除毛剤やカミソリと運命ともいえる出会いを果たす(ようやく気付く)。

 こうして長年の体毛問題から解放された……のだが『髪型』だけは、成人を越えても常に悩みの種だった。


 何十名もの美容師(プロ)にその毛量を驚愕されながらも、私は様々な髪型を試す。


 キンタロウ(まさかり担いでる方)

 ムッシュかま○つ

 ウォー○マン(牛丼好きが主人公のアニメ(漫画)に登場するキャラクター)

 シンプルキノコ 等


 失敗の度に家族や彼氏(旦那)に面白おかしくあだ名をつけられても、私は粘る! 未知(モテ髪)の研究に時間と金を湯水の如く費やした。

 

 しかし33才でついに、鋼の心が折れてしまう――。

 トドメの一撃は、旦那の「タニシ」だった。


 額の広さが3センチにも満たない黒髪ボブの私には、まさにピッタリの名だ。

 たった3文字の巻貝に敗北した女は力尽き、それを素直に受け入れた。



 あれから数年――。

 今は「タニシヘアー」が私のお気に入りとなっている。


 カットも殿方に混じり、1000円処で済ませるまでになった。洗うのも楽チンだしセットの必要もない。


 ただ女性として「残念」であることは誰がどう見ても明白だ――。

久々のエッセイを読んでいただき、ありがとうございます!

連載小説も2作品投稿しています。

現代社会を皮肉る目的で書いているので異世界には転生しませんが、お時間があれば是非読んでみて下さい!

『わがまま戦隊、棚上げレンジャー』【完結】

『魂再生機構』【完結まであと三話】


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