2話! 〜無個性やろうの僕が金髪碧眼の魔法少女のパンツを見てしまった結果〜
僕の名前は綾乃春希。いわゆる凡人だ。
だが僕には盛大な夢がある!
それは、勇者になること!
人々を救い、人々から愛される勇者に!
だが、それを邪魔する者もいる。そう先生だ。
「こらー!春希ーまた漫画を読でいるな!いい加減授業を受けろ、馬鹿野郎!これはお前のために言っているんだぞ!」
--僕だってわかっている。
実力が無ければ夢を叶えられないことくらい。
だが僕は…算数が苦手なのだ!
意味不明な文字や数字がある式、グラフから数字を読み取ったり。
何故算数はあるのだろう…その疑問を先生に聞いてみることにした。
「先生、何故我々は算数を勉強するのでしょうか?」
それが先生の逆鱗に触れた。
「なんだと!算数だとぉ!!なあ春希、高校ではな算数ではなく……数学と言うんだ」
………
はて?数学?なんだそれ?
アホ顔の僕を見て何を察したのか、幼なじみの『かなた』が俺のフォローをしてくれた。
「先生!春希には俺から言っときます、なので授業の再開を」
「ふぬー。わかった!では授業再開だ!春希、次読んでたら没収な」
「わかりました…」
(やな感じ…)
何故僕はこのクラスに配属されたのだろう。
ふむ、これは永遠に続く謎だな。
物と物がぶつかる音がする。
--始まったな。
退屈で平凡な難しい授業が…黒板を見ても何もわからない。
暇つぶしもできない。寝ることもできない。
どうしたらいいんだ…。
幸い席は人気席と言われる窓際の後ろ。
外を眺めていると用務員さんが庭の掃除をしているのを見た。
ああいう人がいるから俺達は幸せに暮らせているのか…感慨深いものを感じる。
「ん?」
驚きのあまり声が出た。
それもそのはず、空中に少女がいるのだ。
いや、僕がおかしくなったわけではない!
本当のことなんだ!
(俺はどうすればいい?)
初めてのことでどうすればいいかわからない!
とりあえず落ち着こう。
「ふー」
よし落ち着いた。
先ほどから足が震えている。
だが気にしない。
「春希…うるさい」
前の人に叱られた。
「ごめん」
前の人は相槌を打ち、授業に戻っていった。
(あれ?いなくなってる…)
少女はもう、空中にはいなかった。
幻覚だったのだろうか?
心にモヤがかかっている気がする。
こんな時はあの場所に行こう。
校舎の奥。誰も見つけられない場所。
そこには僕の話を親身に聞いてくれ
る人がいる。
いつもいつも、心にモヤがかかるとそこに行っている。
だから今日も行こう。
手を上げ先生の注意を向ける。
「どうした春希」
言うことは一つ。
「トイレ…行ってきてもいいですか…」
生徒みんなからの視線が集まる。
正直恥ずかしい。
「ああいいぞ!」
了承を得たところで僕は教室を出る。
多分、欠席扱いになるだろうな。
まあいい。行こう。
二階の端っこの教室…の本棚を押すと秘密の通路が現れる。
まるで秘密基地だ!
通路を通ると沢山の本がある場所に出る。
そこにはいつも、彼女がいる。
ほらそこに…
「あれ?いない」
初めてのことだ。
彼女がいないなんて…
まったく!今日は不思議な事ばかりだ。
「一体何が起きているんだー」
(はー帰ろう)
ん?
--足音がなかった。いや気づかなかった。
そうそこには…ザ・魔法使いという服装をした少女がいた。
声が出なかった。
汗が目に入ってくる。
少女はというとこちらを見つめたままフリーズしている。
と思っていると少女は口を開いた。
「あの!ここはどこですか…あなたは…だれですか!ひゃ!」
転んだ。
思いっきり尻餅をついた。
「あっ、大丈夫?」
「いや!近づかないで!変態!」
「え!変態!?」
変態と言われて気がついたが…ヤバイ彼女、股を開いている。
(ぱ…ぱんつが見えてる)
だっダメだ、落ち着け自分!
頭の中で天使と悪魔が「いいじゃん!彼女があんなパンツ履いてるのが悪いんだって」「違うよ!彼女は怖がっているんだ!だから少しでも離れるべきだ!」と言い合っている気がする。
どうしよう…クッソ!優柔不断な自分が嫌になる!
どうすれば…
ツルッ。
(あれ?なんで俺は床を見ているんだ?)
床にはバナナの皮。
前には少女がいる。
考えるべきだった。何故彼女が転んだのかを。
「きゃー!来ないでくださいー!」
「ぼふ」
「あっ」
ぱんつにダイレクトアタック。
だが綾乃春希はその匂いを堪能出来なかった。
少女がそれを許さなかった。
リンゴのように真っ赤になった顔を隠すように少女はこう《《呪文》》を唱えた。
「はぅ…!ネンネー!」
ネンネー。それは眠りの呪文。
少女のもつ杖から出る怪しいびーむのようなもので綾乃春希は眠らされた。
「はぁ…はぁ…ドキドキした…じゃない!誰ですかこの変態さんは!」
爆睡。
授業も忘れ探し人も忘れ。
そして、最大の疑問である…この子は誰か何故呪文が唱えられるのか。
答えを知らず、夢の世界へ旅立ってしまった。
そんな少年(高校二年生)のことをジロジロと舐め回すように見ていた少女はこう呟いていた。
「でも、悪い人じゃなさそう…ひゃ!」
学校が揺れだした。
それでもなお少年は起きない。
「ヤバイですよー!起きてくださいー!」
…
「グースピー」
この現状を見て少女は思う。
「世界一大っ嫌いな寝言ですー!」
地面は揺れる。
されど部屋は崩れない。