30
ちょっと、不快になる部分があると思います。ごめんなさい。
昨夜は散々だった。
どいつもこいつも少しでも目に留まろうと、きつい色の胸元が開いたドレスを身につけ、目が変になりそうだった。
化粧は濃いし香水の香りも混ざり合い、正直吐き気がした。
媚を売るように腕をくみ胸を見せ付けるようにしてきたときは、全身に鳥肌が立ち、思わず突き飛ばしそうになった。
本当にやつらは姫なのだろうか?
あんな正妃という立場に目がくらみ、またそれを微塵も隠せていないような者たちが。
自分の目には、下品な商売女のようにしかうつらなかった。
それにこの国よりは小さいが、それでもほかの国と比べると大きいベーデルト王国の王女なんか最悪だった。どんなに鍛え上げられた男でも、簡単に潰されそうなくらいの巨体。胸と腹が同じくらいに出ていた。立食になったのもあの女が椅子を潰し、数が足りなくなったかららしい。
あれは化け物だ。
なんで宰相はあんなのも候補に入れたのだろうか。確かにどの姫も条件にはあっていたが。
明らかに面白がって入れたに違いない。
いくら幼馴染だからって許せない。
勅命で、宰相とあの化け物を結婚させるか。
宰相の家は公爵家だし身分的には問題がない。
そもそも、自分は彼女以外を愛する気はないのだ。
だから自己主張の激しく、気位の無駄に高いやつはまず選ぶつもりがない。
必要なのは、己の立場をわきまえ、大人しく夫に従順であり自己主張のしないある程度の後ろ盾のある者か、正妃という立場を与えれば夫の愛など必要のないという、条件にかなった飾りだけの・・・・そして決して彼女を害さない女。
本当は彼女を正妃にしたいが、彼女では条件を満たさないのだ。だから彼女は正妃ではなく、愛妾として自分の側にいてにいてもらおう。
この国は確かに一夫一妻制となっているが、中には愛妾を持っていた者もたくさんいる。そもそも一夫一妻となったのも7代前の王からだ。それまでは後宮もあった。今では取り壊されたが。
だから彼女を愛妾にしても問題はないだろう。家臣たちは反対するかもしれない。だが自分に逆らえるものなどいないのだ。だから誰にも文句は言わせない。
でもさすがに国のこともあるから、条件にあった姫の中から娶り、そして子は作ろう。
子を成すまではいくらでも抱こう・・・たとえそれが、彼女を傷つける行為だとしても。
子をなした後は、それまでの罪を償うために、彼女だけを愛しぬこう。
もし正妃になった女がそのことで文句を言ってきたなら、適当に不義の疑いをかけ首を跳ねればいいのだ。
子のことはある程度は可愛がってやろう。本当は彼女との間の子供以外相手にしたくもないが仕方ない。後に反抗的になられても面倒なだけだからな。
だが・・自分の思う条件にかなう姫は思った以上に少なそうだ。
昨日の会場内で、自分に目を向けなかった姫はたったの5人だった。
まぁ、いい。
その5人の中から決めよう。
今日から早速、接触してみるか。
昨夜は顔を見えぬようにしていたから、姫たちは誰も自分の顔を知らないだろう。だからあくまで第三者として接触するのだ。そうすれば相手の気はそれ、本当の性格がわかるだろうから。
「さて、どの女にするべきかな」
ーーーーーーーーーーーーそういいながら、彼は寝台を後にした。
少し変更しました。