番外編:2
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『お父様!!』
大きな呼び声と同時に、バンッと勢いよく開かれた扉。
「ふぐぅっ・・ゲフッゲフッ」
びっくりして、お菓子が喉に詰まってしまった。かなりくるしい。
涙目になりながら扉のほうを見る。
入ってきたのは愛娘の一人、一の姫セシリアだった。
彼女の目には何故か涙が溜まっていた。
もし今の彼女の顔を世の中の男どもが見たら、たいていの者が彼女を好きになるだろうーーーーーーーー内面を知ったらどうなるかはわからないが。
それだけ自分の娘は美しいのだ。
「どうしたのだ?ほれ・・・とりあえず、これで顔を拭きなさい」
さっきまで口を拭いていたものだから、少し汚れている。でも仕方がない。拭くものが手元にコレしかないのだ。
『ありが・・・・フンッ』
セシリアはすごい勢いで、受け取ったタオルを床に叩きつけた。スパンッって柔らかいはずのタオルがいったよ。しかも「汚らわしいわ、汚らわしいわ、このタオルも・・・お父様の存在も・・」とかブツブツ言っている。
うぅ・・・娘にそんなふうに言われるとかなりショックだ。それにセシリアよ・・・小声のつもりのようだが丸聞こえじゃよ・・
でもとりあえず、何故ここにきたか聞かないといかんな。
「ほれ、セシリアよ・・今日はどうしたのじゃ?またドレスがほしいのか?でものぅ、ソフィアが絶対買うなといったのじゃよ。買うのならワシの小遣いから出せといわれているしの・・しかし、ワシの小遣いは月々5ルピに減らされたから、あまり高いのは買ってはやれんのじゃよ。すまぬな」
色々と一の姫たちやお菓子に金を使いすぎたからか、今月から小遣い制になってしまった。封筒に月の小遣いを入れて手渡されるのじゃ。そして国のすべての金を管理するのはソフィアーーーつまり無駄遣いは絶対にできないのじゃ・・・といっても今月はソフィアがいなくなったことでうれしくて使いすぎ、あと1ルピしかないがな。どうするかの・・次の小遣い日まであと20日もあるのだが。
悶々とお金の心配をしていると、やっとセシリアが話し始めた。
『実は・・・ギュンター様が・・』
ギュンターとはたしか公爵家の者だな。セシリアたちとはよく合っているようだ。それくらいは覚えてるぞ!それに以前、人気菓子店の限定版チョコレートケーキをくれたのじゃ!!(餌付け)
「ギュンターがどうしたのじゃ?」
結婚を申し込まれたのか!?相手は公爵家だから家格は問題ないな。めでたい、めでたい。
『・・・ギュンター様がキスをしていたのを見たのです』
ーーー残念だ。違ったのか。セシリアは失恋したということかのう・・それで慰めてほしいのか。よし、このお菓子をやるか。
「ほれ、セシリア。これでも食べて元気w『しかもベルゼー伯爵と!!』」
・・・、・・・、・・・!?
すごいことを聞いた気がするのだが・・・。ギュンターは公爵家の嫡男で容姿も中性てきで整っているから、社交界ではすごい人気だ。べルゼー伯爵は25歳という若さでありながらも名門伯爵家の当主となっている未婚の精悍な顔をした青年である。
両方とももちろん男だ・・その2人がキスを・・・・・・・。
社交界にでている一部を除いた貴族令嬢や婦人たちが聞いたら卒倒しそうなことだな・・・。
もちろんワシもびっくりした。つい手に持ったお菓子を落としそうになってしまった。危ない、危ない。
ーーーーーーーーーーーーしかしこの後もっと驚くことをセシリアが言うことを、まだ彼は知らない。