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『リティオラさま、シェルフィーダ王国のソフィア姫よりお見舞いの品が届いております』
帝国側の付けた侍女が、ソフィア姫の送ってきたと思われる籠を持ってきた。
彼女が持っているのだから安全なのだろう。もし何かあったとしても、あちらが損するだけだ。
「持ってきてちょうだい」
やっと腹痛が治まり、機嫌が良い。見てやろう。
ソフィア姫と言えば、昨日東方の呪術の人形を贈った相手だ。ライバルには消えてもらった方がいいと思い、こっそりと送ったのだが全く効果のなかったようだ。残念。
リティオラはそんな事を思いながら籠を受け取った。
「いったい何かしら?」
籠には白い布が掛けられており、中が見えない。
少し不安になり、侍女に開けさせることにした。
「開けてちょうだい」
『はい・・・・・・・ひっ』
侍女が引きつった声を出す。
見ると、中にあった物は私が送ったのと同じ物。
しかも人形は、淡いピンク色のレースを使用したハイウエストらしきドレスを身につけている・・・・・それは今、リティオラの着ているものと全くデザインの同じ物だった。
「ど・・・どうして・・・?」
今着ているドレスは、さっき身に付けたばっかりの新品。ここにいる者たち以外知るはずのない。なのに何故?
もう一度人形へ目を落とす。人形は小さな手紙を持っていた。
ソフィア姫からのものだった。
手紙には“リティオラ様、お加減はいかがでしょうか?私のもとに届いた“人形“の釘をお腹にさしたのが悪かったのかもしれません。そのせいで変な噂も立ってしまったようですし。なのでお詫びとして、一つ、あなたの国の情報をここに書かせて頂きます”と書かれていた。
ソフィア姫の語った“情報”はリティオラの知りえないものだった。
書かれていた情報は、異母姉妹のこと。リティオラの目の上のたんこぶの第一王女のことだった。
真偽は定かではない。しかし嘘とも言えないこと。
―――なかなか、いい情報じゃない。
この事が知れれば、リティオラが祖国に帰っても誰も文句は言えない。特に王女は。
それほどに価値のある情報―――――なぜソフィア姫が知っているのかはわからないが。
もともと妃になれるとは思っていなかった。少しは期待もしていたが。
リティオラは肩の荷が下りたようでスッキリした。