過去4
夏休みなのでたくさん時間があります。
後ろから聞こえた声。
振り返ると、そこにはガラ+頭の悪そうな5人ほどの男がいた。
「おい、ねーちゃんたち。いいもん持ってるねぇ。オジサンたちにも分けてくれよ」
中央にいた男が言った。年齢は40代くらいだろう・・といっても酒場のオジサンとは違い、気持ち悪い。
ソフィアは不愉快そうに顔をしかめた。
・・・・どうしてこういう奴らはお決まりの言葉しかはけないんだ?しかもここにはねーちゃんなんて年の女いないだろうが。
ソフィアと2人の少女はだいたい同じくらいの年齢だろう。ということは7歳・・・大きくても10歳というところだ。例えるならばお嬢ちゃんだ。ねーちゃんほど年は取っていない―――とソフィアが若干ズレたことで怒っていると、話した男の両隣りにいた男たちが動いた。2人はソフィアの前にいた少女たちを捕まえようとした。大方2人を人質に、お金を強請ろうと思っているのだろう。
――――もっともソフィアにはあまり関係のない2人なので、助ける義理もないのだが。
捕まえられそうになった2人は素早く動き、ソフィアの背後に回り、ソフィアの影に隠れる・・・隠れきっていないが。
「ばっかじゃねーの?私たちはおじょうちゃんだ!!」
先ほどソフィアに掴みかかろうとした少女が言った。もう一人の方は何も言わないが、コクコクと頷いている。どうやら二人ともソフィアと同じことを考えていたらしい・・ということは、あの男は子供以下の知能というわけだ。
子供に指摘されプライド(子供を強請るくらいだから豆粒ほどしかないだろう)が傷ついたのか、中央にいた男がソフィアたちを捕まえようとしてきた。ソフィアは後ろに下がってよけようとしたが、後ろに二人がいて動けず、まんまと捕まってしまった。
首の根っこを掴まれ少し苦しい。ジタバタと足を動かすが少しかすっただけで意味がなかった。
「ヒヒヒ、もう怒ったぞ!!おお、嬢ちゃんは顔は平凡だけど珍しい髪だからたかくうれるぜぇ」
舌なめずりしながら笑う男とその仲間は心底、気持ちが悪かった。
ソフィアはとりあえず抵抗するのをやめ、力を抜いた。男もソフィアが諦めたのかと思ったのか、込めていた力を少し緩めた―――――その瞬間をソフィアは見逃さなかった。
ソフィアは足の先で男の股間を蹴り上げた。そして側にいた2人の少女の腕をつかむと全速力で表通りへと駈け出した。
腕を掴まれた2人も頑張って走っている。
後ろからは男たちの声が聞こえてきた。やはり、子供と大人では違う。どんどん距離が縮まってくる。しかし少しすると表通りに出られた。
ソフィアはぐんぐんと2人の手を引きながら家の方へ向かった。後ろからはまだ懲りもせず男たちが追いかけてくるが、家まで行けばきっとそう祖父たちがなんとかしてくれるだろう・・帰っているかは不明だが。
ソフィア一人でも倒せるだろうが、二人の少女がいるので心配だ。だからひたすら家まで走った。
「もうすぐで私の家に着く。そこまで行けば安心だろう」
2人に言う。成り行きで連れてきてしまったが2人とも今の言葉を聞いて若干安心したようだ。
少しして、家の近くにまで来た。未だに男たちは追いかけてきているようだ。後ろが騒がしいから。しかし、大の大人が子供3人を5人がかりでも捕まえられないとは・・情けないな・・捕まるのはいやだけれど。