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過去2

祖父たちと共に旅に出て二年が過ぎた。


その時にソフィアは大陸の西にある小国、レキーナ王国のオルドークという町にいた。


「いいか、ソフィア。女性はこうやって落とすのだぞ!!」


そう言う祖父の腕には一人の派手なドレスを着た少し化粧の濃い女性が絡みついていた。


「・・・私は女ですので、女性の落とし方など必要ありません。あと余り無駄使いはしないで頂きたいものです。もう今月はあまりお金に余裕がないのですから」


少し呆れたように言った。


「あぁ、そのことだが、ソフィアよ。また稼いできてくれ・・・これも修行だ」


「・・・・わかりました。でわ、私はこれで失礼しますね。あと、くれぐれも種を残さぬように。私は年下の伯母または伯父など欲しくありませんので。もし残したときはつみとりますからね?」


「「・・・・・・」」


ソフィアが7歳とは思えぬ声音で腰に下げた剣に手をやりながら言った。祖父と腕についていた女・・・娼婦は少し顔を引きつらせた。


「さ、宰相はどうしたのだ・・・?」


気を取り直し祖父は言った。ソフィアは素っ気なく「女ですよ」といいその場を去っていった。


―――――――――――――――――――――



ソフィアは5歳の頃の気弱な性格がぬけ、すっかり7歳とは思えぬ女の子になってしまった。というのも、祖父たちがあまりにだらしないからだった。


たしかに彼らはソフィアに色々な事を教えてくれた。剣に魔法、その他色々な知識を。先ほども「女の落とし方」とか言うのを教わっていた。全く必要ないし、7度も失敗していたが。


でもソフィアはこの旅が大好きだった。決して表には出さないが〈調子に乗るから〉。

行く先々で様々な友人もできたし、あの国にいたらきっと自分は潰れていたと思うから。



 ソフィアは一度大きく深呼吸をするととある場所に向かった。


向かった先は酒場だった。



「ああ、ソフィアちゃんいらっしゃい」


声をかけてくれたのは、40代のなかなかに渋いおじさんだった。彼は拭いていたグラスをカウンターに置くとソフィアに言った。


「毎度すみません。またここで働けないでしょうか?」


ソフィアは頭を下げた。祖父たちのお金がなくなるとよくこの店で歌ったり、給仕の仕事をしていた・・・まだ7歳なのに。


最近ではオルドークの歌姫とまで言われるようになっていた。


「わかったよ。じゃあ、今日からお願いしようかな」


おじさんは、にこやかに笑い承諾してくれた・・・にこやかとは言うが、見る者が見れば、とてつもなく怖い顔だったが・・・さすが酒場のオヤジである。










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