【1章4話】人間じゃなくても寝顔は可愛い
ちょっと急いで書いたのでクオリティ低めです
「ふむふむ…ゾンビねぇ…」
青白い顔をしながら布団の中で眠るエルフの少女…
その少女を挟み込むように桜と蛍の2人は向かい合っていた。
「そのゾンビはなんとか俺が倒したけど…どこから発生したのかはわからないんだ。」
【腐屍人】。この世界では死者の魂が腐った肉体に宿ったとされているモンスター。
それがそこに居る少女を襲ったと言うのである。
「ゾンビに…エルフ…か…あまり考えないようにはしていたけどやっぱりモンスターや亜人も居るのか…この世界には」
桜が渋い顔をしながら呟く。
ゾンビ…そして目前に居るエルフらしき少女…
現実世界では見慣れない『人間以外の人型生物』…。
それはどこか異質なものに見えた。
「だね…慣れるのには時間がかかりそうだよ。
…でも…この寝顔を見ていると…」
「うん…なんかボク達とは変わらないなぁ…って」
元の世界には居なかった異質な存在であるが…
布団の中で寝ているエルフの少女…
寝顔を見ていると…なんだかそんな考えも吹き飛んでしまうのであった。
…顔は青白かったが
「ところで…」
おもむろに蛍が疑問を浮かべる。
「この布団は…どこにあったの?」
エルフの少女が寝ている布団…
それは真っ白でとても気持ちの良さそうな物であった。
それは桜が創造で作ったものではあるが、蛍には説明していなかった。
…ぶっちゃけ、少女の事に慌てすぎて説明する暇も聞く暇も無かったのである。
かくして桜の【創造】の説明が始まるのであるが…
…なぜ布団を出したのかについて思いっきり突っ込まれたのは言うまでもない
────────────────
「それはそうと…ここに居るのは危険かもしれないね…」
ぐだぐだと長くなった【創造】の説明を終え、少女の看病に徹していた時、ふと桜が呟いた。
「…え?なんで」
桜の出した水タオルをエルフの少女の額に乗せながら蛍は聞いた。
…別に少女は熱があるわけでは無いのだが…これは気分の問題であった。
「いつゾンビが襲ってくるかがわからない以上…ここに居るのは危険だと思うんだよね」
先程聞いたゾンビがどこから発生したのかよくわからない…
なら、一刻も早く安全なところに逃げ込みたい…そう考えたのであるが…
『うーん…でもどこかに逃げるにしても…行く宛なんてないよね…』
膝の上に置いたスマホからアルニの声が響く。
「あ、アルニ居たんだ」
『居たんだとは何ですか…』
この女神、先程から全然喋っていなかったので存在を忘れていた。
『せっかく私が状況整理のために頭を働かせていたと言うのに…』
アルニが呆れたように言う。
少し前から思っていたが、この女神…やけに人間っぽいような言動が多い。
まあいいですけど…アルニちょっと拗ねたように言った後、話を戻す。
『辺りは一面の瓦礫。
蛍さんも桜さんも遠くまで捜索に行ったものの…殆ど手掛かりを得られませんでしたよね?』
そうなのである。
桜と蛍。お互いにかなりの範囲を探索したはずなのであるが、瓦礫以外の物はほとんど見つけ出すことができなかったのである。
一つだけ…見つけた手がかりはあるのだが…
「唯一の手がかりであるこの子も目を覚まさないし…」
唯一の手がかりは未だに目を覚ましていない。
確認してみた所、血の巡りは悪くないはずなのに顔が青白い。
どういう理屈かはわからないが、少女はまだ目覚めそうには無かった
「うーん…せめて何かの建物があれば…手がかりにはならなくても…少しは安全な気がするんだけど…」
と、蛍
実際にゾンビが来た時は屋外よりも屋内に篭っていた方が見つかりづらいし、迎撃もしやすいだろう。
雨風や気温の変化をある程度防ぐためにも屋根のある場所は欲しい。
しかし、そんな建物なんて1つも見つける事が出来ないでいた。
『そこで!アルニちゃん考えちゃいました!』
妙にハイテンションな風にアルニが叫んだ。
…正直そのノリは寒かった。
「…なんか妙に気にかかる喋り方だけど…何?」
桜が若干引き気味に聞く。
そうするとアルニは『よくぞ聞いてくれました!』とばかりにハイテンションでこう言った。
『ズバリ!屋内が無いなら屋内を創ればいいんですよ!』
────は?
量少なくてなんかすみません…