【1章2話上】意外と無知な女神様
おもいっきり抜けていた部分の補完です。
すっかり失念していました…すみません…
「「『さて…どうしよう…』」」
ここには2人の異時空人と1人の女神…ある意味とんでもないメンツが揃っている…
…しかし全員が迷子である。
先程持っている全ての情報の交換が行われたものの…
どちらもあまり役に立たない情報しか持っていなかったのである。
あえて言うならお互いの【能力】についてであるか。
どちらの能力もこの状況を打破する要因には
…今のところはならないみたいである。
…あれ?そういえば…
と、何かを思い出したらしい桜が話し出す。
「アルニも…この場所がどこかわからないの?」
現在通話で繋がっている女神、アルミニア・クローバーは桜達をこの世界に連れてきた張本人である。
そんな彼女がこの場所についての情報を知らないのはいささか問題ではないか?
「その事なんだけど…アルニが言うにはここは元々街だったんだって。」
蛍が答える。
『はい。石と木の街ギアルス…それがここの場所にあるはずだった街の名前です。』
なるほど、アルニがここに街があると思っていて転送して来たのなら…
ここがこんな事になっているなんて知らないはずだ。
もし知っていたなら別の街に転送するだろう。
「つまり…この瓦礫の山は…元々はそのギアルスって言う街だったのかな?」
『恐らくは…でもなんでこんな事に…ここは魔王の城からはかなり離れてるのに…』
──え?魔王?
「え?魔王?」
桜の脳内と蛍の言葉がシンクロする。
『あれ?言ってませんでしたっけ?
この時空は…魔王と人間達が戦っている
…所謂、剣と魔法のファンタジー世界なんですよー。』
悪びれもせずにアルニが言う。
よく考えたらこの世界の事についてあまり聞いていなかったきがする。
「え?じゃあボクらは魔王を倒すためにここに連れてこられたの?」
『あ、違いますよ』
…違うんかい。
『だいたい、魔王を倒してしまったら人間がデカい顔するじゃ無いですかー…
女神的にそういうのはあまり好きじゃないんですよ』
魔王が居る、そしてそこに転移させられる…
その情報だけでついつい、魔王を自分たちが倒すものだと…
一瞬勘違いしてしまった。
『私の目的は【死んだ人を別の世界で平和に生活させる事】なんですよ…。
第一…魔王なんて私が片手間で倒せるぐらいの強さですし、他人に頼みませんよ。』
意外と平和主義な女神様であった。
…片手間で魔王を倒せると言っている、アルニの強さには突っ込まないでおく。
『おっと、話がズレましたね。私の連絡不足のせいですが。』
アルニが思い出したように話を元に戻す。
『とにかく、ここにあった街が何故こんな様になっているか…調べる必要がありますね。』
「この街を壊したのが…何者なのか…」
確かにそうである。
地震などの自然災害ではこう被害は大きくないだろうし、誰かがこの街を破壊し尽くしたと言った方が理解出来る。
それこそ、原子爆弾とかを落とせばこんな惨状になりそうである。
『この街は転移者を送る絶好のポイントだったのに…
現に2人以外にも数名この街に送っていたので…』
「うん?ボク達2人以外にも異時空人が居るの?」
…さっきから重要な事をさらっと言われまくっている気がする。
こう何回も繰り返されるとわざとなのかと疑ってしまう…
『うーん…2ヶ月前に3人程送ったんですけど…連絡が来ないと思ったら…』
連絡が来ない…か…
「どうやら、この惨状に巻き込まれてしまった可能性が高いね…そして多分生きては…」
蛍が声のトーンを落としながら言った。
まあ、この線で間違いないだろう。
これに巻き込まれてアルニに連絡を取らない訳が無い。
連絡が来なかったと言うことは…つまり…そういう事だろう。
『…まあ、考えても仕方ありません!とりあえずは貴方達ですよ!』
アルニは精一杯元気な声を出しているようであったが、声のトーンがいつもよりも低かった。
しかし、そこに言及するとさらに元気を無くしてしまうだろう。
桜と蛍は二人ともその事には黙っている事にした。
「そうだね、まずはボク達だ…
この状況がどこまで続いているか、それを確認する必要がある。
あわよくばどうしてこうなったのかの情報を手に入れる事ができれば…」
桜が提案する。
「なら二手に別れて捜索しよう。その方が効率いいと思うし。
この木を目印にすれば迷うことは無いだろうし。」
そう言って蛍は桜の木に手を当てる。
かなり大きな桜の木だ。
季節的に青々とした葉が茂っているが、春になったらとても綺麗な桜が咲くだろう。
『私もそれがいいと思います。』
「ボクも賛成だよ。」
────そうして、桜と蛍は別行動をする事となったのである。
なんかだんだんクオリティが下がっている気がする。