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第2章 |狂気《バーサク》

僕は、何の為に生まれてきたのだろう?


僕は、何の為に戦っているのだろう?


僕は、何の為にdelusionをやっているのだろう?


答えなんか、大分前からどうでもよかった。


delusionの強豪校に入れば実績になる。いい大学に入って、一流起業、もしくは公務員になる。僕がdelusionをやる理由なんて、所詮そんな理由だ。先輩やカルロスみたいに、delusionを心の底から楽しむことなんて、恐らく僕にはできないだろう。


「おいおいおいおいおい!!来たぜ来たぜ来たぜ来たぜ秋葉原!!さあさあさあさあ、どんな強い奴がいるのか、今からワクワクが止まらねえぜ!!」


テンションが高く、暑苦しい雄叫びを上げているのは、所沢にある埼玉県随一のdelusionの強豪校、聖峰官学園のナンバー2にして僕の一つ上の先輩、宇田川行信。彼のdelusionの技術、中でも自分だけの空間(パーソナルスペース)の作り込みは全国でも5本の指に入るほどだが、常に熱く、困難を精神論で無理矢理解決しようとする傾向があるので、僕は少し苦手だ。


「何で部活が休みの日にまでdelusionをやらなきゃいけないんですか。僕は帰って寝たいんですけど。」


「もう手遅れネ、せっかくだからアキバを楽しんでくるといいヨ。」


そう言って笑ったのは、ブラジルから来たディリュージョニスト、カルロス・エーデルハイツ2世。彼は一方的に僕をライバルだと思い、よく勝負を仕掛けてくる。僕なんか大した力もないんだから張り合わないでほしい。


「来た来た来た来たきたきたキタkita!最初の挑戦者はお前かァ?宇田川行信、いざ、推して~参る!」


先輩が早速対戦相手を見つけたようだ。僕らの目の前にいたのは、まるで昭和からタイムリープしてきたような男だった。学ランに金髪リーゼント、そしてピアス。彼は僕が生まれる遥か昔に存在したヤンキーとよばれる人種なのだろう。


「先輩、こいつ、かなり強イね。」


「ああ、大分やベェぜ…」


別に彼らに相手の力量を推し量る特別な力があるわけではない。ただ、目の前のヤンキーの足元に転がっているディリュージョニストを見れば、そいつが異様な力を持っていることは一目瞭然である。


「まったく嫌になるぜ、修行がてら遠渡はるばるアキバまで来てみたはいいが、どいつもこいつも弱すぎる。だが、お前はいい目をしている。さぞ楽しませてくれることだろう。そこに転がっている有象無象とは違ってなァ。」


「キャプテン、こいつは何か不気味だ。ここはアキバだ。対戦相手ならごまんといる。他を当たろう。」


負けた相手が立てなくなるまで痛めつけられるなんて明らかに異常だ。どんな競技でもそうだが、ある競技をやっている者には、2種類の人間がいる。現状に満足してなんとなくその競技をやっている者と、猛烈なハングリー精神を持ち続け、強い奴に果敢に挑み続ける者。そしてそういう奴は自分を極限まで鍛える節がある。目の前の男は後者だ。それも前者を極端に嫌う正真正銘の荒くれ者だ。


「漢の勝負に口を挟むんじゃねぇ、8人目最有力候補、石動準壱。゛今はまだ゛お前に興味はねぇ。」


「準壱、カルロス、お前たちはそこで俺の勇姿を目に焼き付けておいてくれ。」


「危なくなったら乱入シます、先輩。」


「「妄想を、ぶつけろ!!」」


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