再会
一方、王国では王子がいなくなった事で国中がパニックになっていました。
王は国中におふれを出し国中を探させました。
国の周りの森にも捜索隊を出しました。
しかし何年探しても王子発見の報は王の元には届きませんでした。
魔女の家には結界が張ってあったので普通の人は探し出す事は出来ないのです。
おかげで小さな魔女見習いは誰にも邪魔される事なく魔女の修行を続けていきました。
時間が経つにつれ王も王子の事を諦めるようになってきました。
周辺諸国との関係も難しくなってしばらく王子の事は考えないようになりました。
そして王子失踪から10年の月日が流れました。
森は相変わらずその美しい姿を保っています。
魔女見習いもいつしか一人前の魔女に育っていました。
しかし王国は建国以来の危機が迫っていました。
周辺諸国との関係がこじれて今にも戦争が始まりそうな雰囲気になってしまったのです。
国力の差から言ってまともに攻め込まられたら簡単に国は滅んでしまいます。
交渉も決裂してもはや滅びの日を待つばかりという状況になってしまっていました。
王はこの状況を打破するために最後の手段として魔法使いに助けを求めました。
魔法の力で王国を守ってもらおうと考えたのです。
王国の存亡のためにはもうなりふりかまっていられませんでした。
王国が有能な魔法使いを募集していると聞いて王子だった姫は王国に向かう決心をしました。
もしかしたらそれは元の姿になった自分を認めてもらいたかったのかも知れません。
母親の魔女も彼女を引き止めはしませんでした。
もう彼女には十分な力が備わっていたからです。
今の彼女なら決して王の言葉にも怯みはしないとそう確信していました。
魔法使い募集の報を聞いて城には幾人かの魔法使いが集まっていました。
それぞれ得意な魔術を披露して審査の結果を待っています。
しばらく待っているとやがて姫の出番になりました。
彼女はうやうやしく王に謁見すると
お久しぶりです、お父様
と、凛とした声で言いました。
何?私に娘などいないが…
と、王は言いかけましたがその顔を見て思い出す事がありました。
目の前の魔女の顔は昔彼が愛した女性にそっくりだったのです。
お前!やはり母親に会っていたのか!やはり魔女の子は魔女だな!
今さら現れて何の用だ!私を笑いに来たのか!
王は姫に向かって声を荒らげてそう言い放ちました。