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星座占い、盲信

作者: 猫人鳥
掲載日:2026/07/04

 皆様は、星座占いを信じていますか?

 私はそれなりに信じています。


 星座占いなんて、所詮はただの迷信です。

 テレビやネットを適当に見れば、いくつもの結果が存在し、あるところでは1位という結果でも、他のところでは最下位だったりもします。

 そんなものを信じてどうするんだという話ではあるのですが、これだけ色んな結果がある事こそが、誰もがなんとなく星座占いを見てしまうという事実なのでしょう。


 星座占いを、信者のように盲信する必要はありません。

 それでも1位という結果を見れば、その1日の始まりは少し明るくなり、逆に最下位という結果を見れば、なんとなく暗くなるものではありませんか?

 私はそうです。


 私は毎日星座占いを見ています。

 ですが普段はあまり気にしません。

 それこそ上記のように、ただなんとなくの感覚を覚える程度です。

 少し嫌な事があった時、


「あぁ……今日占い最下位だったし、しょうがないか」


というような、慰めに利用する事があるだけです。


 ただ、ここぞという日だけは、星座占いを盲信するようにしています。

 そして、私にとってのここぞという日は、"採血"をされる日です!

 この日に限っては、朝から出来る限りの占いをみて、用意できる限りのラッキーアイテムを用意しています。


 そうです、私は注射が大の苦手なのです。

 別に注射で気分が悪くなった事があるとか、余程大きなトラウマがあるとかではなく、単に苦手です。

 採血がしにくい腕で、何度も失敗された事があるという訳でもなく、寧ろ採りやすそうとまで言われたことがある腕です。

 ですが苦手なものは苦手なので、どうしようもありません。


 年に1回、職場での集団健康診断があるんです。

 私はその度に騒いでいるので、同僚の皆さんにからかわれまくりです。


「そろそろ採血だね?」

「私の分も採ってもらってよ」

「暴れたらダメだよ?」


 健康診断が近くなると、皆してからかってきます。

 因みに暴れた事はありません!


 姉の職場では、採血は30歳かららしいのですが、私の職場は何故か全員対象です。

 それはきっと、ありがたいことなのでしょう。

 私には迷惑でしかありませんが。


 先日、今年の健康診断がありました。

 その時も私は、朝から星座占いを見たのです。

 複数の情報を見ている時間がなく、いつも見ている1つだけを見ました。

 そしてそこには、"1位"の文字が……


 とても嬉しかったです。

 1位だから大丈夫、1位だから大丈夫と、何度も自分に言い聞かせました。


 そして迎えた健康診断……


 私の職場の健康診断は、毎年血圧の後に採血があるんですよね。

 血圧の場所から採血の場所が丸見えですし、なんなら血圧の場所で、


「次の採血用です」


と、3本の試験管を渡されます。

 本当にやめてほしいんですけど、血圧測定の時点で採血を意識させてくるんです。

 だから私の血圧は急上昇!

 いっつも血圧でひっかかって止められます。


「緊張されてます?」

「少し時間を置いてもう一度」

「ゆっくり深呼吸して、リラックスして下さい」


 毎回血圧の担当の人に言われますが、無理です。

 だって隣に採血あるから!


 そして案の定、今年も血圧で止められて、採血を迎えました。

 ただ、珍しく採血が少し待ちだったんです。

 だから私は前の人が終わるのを、後ろの席で待っていました。


「すみません、すみません……」

「いえ、大丈夫ですよ。採りにくい腕で申し訳ないです」

「違います、私の技術不足です。本当に申し訳ありません……」

「はは……」


 前方から、恐ろしい会話が聞こえてくるんです。

 どうやら私の前の方は、やり直しがされているようで……


 え? 今、技術不足って言った?

 え? 大丈夫だよね? 私は前に採りやすそうな腕って言われたことあるし。

 うん、星座占い1位だったんだし……

 そんなことを考えていると、前の方が終わったようで、私の番になりました。


 この職場での健康診断は、仕事中に抜けて行っています。

 だから終わったらまた現場に戻って、すぐに仕事に戻らないといけません。

 私はそれなりに重いものを持ったりもしないといけないので、利き手である右腕で採血をされる訳にはいきません。

 なので左腕から採ってもらうと決めていました。


「よろしくお願いします」

「はーい、腕失礼しますねー。採血で気分が悪くなられた事はありますか?」

「大丈夫ですけど、苦手です」

「分かりましたー」


 私の番になり、左腕を出しました。

 私はもう見ない! を心がけているので、下しか見ません。

 ですが急にこれまでの採血では感じた事のない感覚がありました。


ふにふにふにふに……


 なんか、めっちゃ私の腕をふにふにして、血管探してるんですよ?

 こんな事は初めてでした。

 しかも……


「あの、すみません。反対の腕でもいいですか?」


って……


 いや、右腕はこのあと困るんだけど……

 でも、そんな事も言ってられないし……


「は、はい……」


 恐る恐る右腕を出しました。

 そして、ふにふにふにふに……


「すみません、手を下に下げてもらえます?」


ふにふにふにふに……


「うーん? あ、いけそうです」


 ……本当にか? 本当に大丈夫なのか?


 不安でいっぱいの中、刺されました……

 めっちゃ痛いです!

 しかもこの担当さん、何かグリグリして来たんです!

 本当に泣くかと思うくらい痛かったです……


 おかしい……

 星座占い1位だったのに……


 それからもずっと痛くて、しかも右腕を庇いながらの仕事になっちゃって……

 本当に大変でした。


 あまりに辛かったので、同僚の皆さんに愚痴ってたんです。

 そうしたら、Bさんは何度も腕や向きを変えられたらしく、ゴムバンドも相当に痛かったと怒っていました。

 Kさんは5回も刺し直しをされたそうです。

 Kさんは元より採りにくい腕らしく、笑っていましたが、流石に5回は初めてとのことで。

 そしてなんとSさんは、何度も刺し直しをされた挙げ句、後ろの待ちの人が増えてしまったからと一旦採血を飛ばして進まされ、戻ってから再度採血をされたそうです。


 私の前の方、Kさんに、Sさん……

 私の周りだけで3人も刺し直しをされています。

 そして皆が下手だったというんです。


 もう本当に最悪でした。

 沢山愚痴って、家族にもまだその話をしていました。


「占い1位だったのにさっ! あんな下手な人が担当なんておかしい! 絶対におかしいっ!」


 そう喚く私に、姉が冷静に言ったんです。


「そんだけ下手な人だったのに、あんたはやり直しされずに済んだんでしょ? それが1位のパワーだよ」

「……おぉ、これが1位のパワーか!」

「うん」


 ……皆様は、星座占いを信じていますか?

 私は、全力で信じています!


fin

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました(*^^*)

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