6.考察
「ふー、満足!」
寝巻に着替えた私はベッドの上に横たわった。オススメされたオーク肉はとても美味しくて、誕生日にピッタリの料理だった。あの時の選択肢、グッジョブ。
「さてと、今日一日でウィンドウの事は色々知れたな」
スキルを授かって、色んな事が分かった。まず、自分の能力が数値化されたこと。この世界にはステータス画面というものは存在しないし、ステータスを表示する道具とかもない。
だけど、私のスキルでそれが可視化され、曖昧だった基準が明確になった。そのお陰で、自分の能力を見ながら今後の計画が立てられそうだという事。
次に知ったのは好感度や愛情度というパラメーターがあると言う事。どうやら、それは私の言動や行動で上がったり、下がったりするようだ。
まるでゲームの攻略をしているようで楽しかった。やっぱり、そのパラメーターが良い数値だと、良い人間関係を築けるような気がする。
だったら、関係ある人たちの好感度を上げたほうがいいんじゃないだろうか? 良いことが起こりやすそうだし、何よりも攻略をしているようで楽しい。
「えーっと、パラメーターは……」
ウィンドウを開いて、好感度の項目を表示する。その時、一番上の父のハルトの名前をタップした。すると、新しいウィンドウが開く。
「これって……父さんのステータス?」
まさか、これで他人のステータスが見れる? 能力値だけじゃない、好感度も愛情度も表示されている
「うわっ……プライバシー侵害しているようで、テンション上がる!」
見てはいけないものを見ているようでドキドキした。なるほど、父はこんな風になっているのか……。
ここに書いてある人達の事、全員見れるんだ。うわっ、そう思うと楽しくてゾクゾクしてきた!
「じゃあ、王都一のマドンナはどんな風に思っているのかなー?」
悪戯心でルメルのステータス画面を開いた。
「へー、ふーん、ほー」
好感度の欄を見て見ると、総じて高い相手がいっぱいだ。ということは、嫌いな人はいないということになる。
「この欄でルメルがいい子っていうのは分かる。どれ、じゃあ、愛情度の方はどうなっているのかなー?」
ニヤニヤしながら愛情度の項目を見て見る。すると、昇順にしているのにも関わらず、一桁のパラメーターがずらりと並んでいた。その中で、私の名前が一番上にあった。
「はぁっ!? ……いや、違う。数値6だし。他は5以下だ。なんだー、特別に高いっていう事じゃなかったんだ」
どうやら、私への愛情度は元々5だったらしく、先ほど一つ上がったせいで、平等なところから一つだけ抜けてしまっていただけだった。
「えっと、パラメーターは100が最大値みたい。100の中の6って言えば、ないも同然だね」
ちなみに詳しく見て見ると、五段階に分かれている。1~19は知り合い、20~39で気になる人、40~59で好きな人、60~79で特別な人、80~100で愛する人らしい。
ルメルの最高値が6の私と言う事は、今時点で好きな人がいないという事だ。ほうほう、あのマドンナには好きな人がいないと。これはこれで、楽しいことになってきた。
「次に知ったのはポイント交換だったよね。いや、まさか……ポイントを貯めると色んな物に交換出来るとは思いもしなかったなー」
ポイント交換の項目を開いて、ズラッと品目を見て見る。前世にあったものや、今世にあるものなど、幅広い物と交換出来るようだ。
「交換で手に入れた物をどうやって使うかだよね。やっぱり、お店で売った方がいいかな」
だけど、注意が必要だ。あまりにも高度な物を売ると、それだけで目がつけられてしまう。だから、始めはありそうで無かったものを売らないといけない。
そうやって、少しずつ良い物を売っていって、お店を大きくする。そうすれば、生活が豊かになってくれるはずだ。
「日常クエストはありがたかったなー。能力値も上がるし、ポイントが貰えたりガチャの回数が貰えたりする。絶対に毎日全部やるぞ!」
これもゲームみたいでやりがいのあるシステムだ。何より、報酬がいい。欲しかったものが手に入るから、必ず毎日全部やるべきだ。
「ゲームらしいといえば、ガチャの機能もそうだけど、実績解除も熱かったね。なんか、一気に人生にやりがいを感じたな」
ガチャ機能と実績解除。この二つも自分的には熱かった。ガチャは中毒性があるものだし、実績解除はやりがいがある。どちらも違って、どちらも良い機能だ。
転生に気づいて、自分には何も力がなかったことに愕然とした。この先、どうやって生きて行こうか、と悩んだ時があった。
だけど、スキル授与はそんな私の人生を変えてくれた。このウィンドウには色んな可能性がある。
自分の能力を上げて、何者にもなれる力を手に入れられる。好感度や愛情度を管理して、人間関係を円滑にすることが出来る。ポイントを取得して物に変え、それを売ればお金儲けも出来る。
中毒性の高いガチャの機能は遊び心満点。日常のやりがいをプラスしてくれる実績解除なんていうものもある。
それらを上手く利用すれば、私の人生は楽しくて良いものになる。そんな確信が出来るほど、ウィンドウというスキルは良いものだった。
「えへへ、これからどんな風になるのかな? スローライフ的にのんびり過ごす? それとも成り上がって有名になる? どっちもいいなー」
先の事を考えると、ワクワクが止まらない。何を選択するのも自由自在。私は何者にでもなれる。
ウィンドウのお陰で、今度こそ自分の望む人生を!
ここまでお読みいただきありがとうございます。
明日も六回ほど更新いたしますので、お楽しみに!
更新時間→7:30、12:30、18:30、19:30、20:30、21:30
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