34.恋愛イベント(1)
『ルメル・エリアミルの愛情度ランクアップのイベント開始を開始しますか? ▼はい いいえ』
えっ!? 開始するかどうか、決められるの!? なんていう、親切設計!?
ま、まぁ……ちょっと待って。色々確認させて。今のルメルの愛情度は……19か。確か、20になると普通から気になる人に変わるんだっけ。
なるほど、だからランクアップのイベントということか。ということは、このイベントをクリアすると、ルメルは私のことを気になる人に見てくれるってこと?
ほうほう、それは楽しいことになりそうだ。今もイベントが来て楽しいんだけど、もっと楽しいことになるというわけか。うん、このイベントは絶対にクリアしたい。
でも、どんなイベントになるのだろうか? まぁ、とりあえずやってみないことには始まらない。とりあえず、ポチッとな。
私が「はい」を選択する。すると、新しいウィンドウが開く。
『ルメル・エリアミルの愛情度ランクアップイベント開始』
とうとう、恋愛イベントだ。ドキドキしながら待っていると、ウィンドウが勝手に閉じた。それから、ルメルを見てみると、まだ恥ずかしそうにしていて何かをアクションしてくる様子はない。
これって、本当にイベント始まってる? ルメルから何かをしてくるってことじゃない? もしかして、自分からアクションを起こさないといけない?
何かが自然に始まると思ったんだけど、違うってことかなぁ? それとも、目に見えないところで何かが進行しているとか?
そう悩んでいた時、ふと、顔を上げると教室に人が入ってくるのが見えた。だけど、それは隣のクラスの人たちだ。うちらのクラスに入るなんて珍しい。そう思ってみていた時、その人たち――男子たちがこちらを向いた。
そして、だんだんと近づいてくる。
「おい、ルメル!」
「……えっ?」
その中で体格の良い男子が強い口調でルメルを呼びかけた。
「この間のことはちゃんと考えたか? 返事をもらいにきた」
んん? もう二人の間に何かがあったっていうこと? 実は裏でイベントが進行していたのか……。それにしても、この男子は態度が悪いな……。ルメルの前で偉そうに……。
すると、隣にいたルメルが立ち上がって、少し嫌そうな顔をして答える。
「前もちゃんと答えたよ。付き合えないって」
「はぁ? 聞こえねぇな!」
「だから!」
「俺には『はい、付き合います』っていう言葉しか聞こえないんだよ!」
なんか、険悪なムードになってきた! これはもしかして、隣のクラスの悪ガキがルメルに告白したってこと? そんで、ルメルが断ったんだけど、この悪ガキは往生際が悪いと。
なるほど、この悪ガキからルメルを守るのが今回の恋愛イベントっていうことか。そうと分かれば、ルメルを守るっきゃないでしょ!
「ほら! 早く『はい』って言え!」
「嫌!」
悪ガキがルメルの手を掴んで引っ張るが、ルメルは嫌がっている。じゃあ、ここでヒーローの登場だ!
「とぅっ!」
「ぐはっ!」
助走をつけてからの飛び蹴りをくらわすと、その悪ガキは吹っ飛んだ。よし、これで悪ガキの手が離れた。
「おい、大丈夫か!?」
「お前、なんてことを!」
「ふん! 手を出してきたのはそっちじゃない!」
ついてきた男子たちが抗議の声を上げるが、そんなのは知ったことじゃない。
「ルメルは後ろにいて。私が対応する」
「リオ……」
ルメルを守るように前に出て、仁王立ちをする。すると、倒れていた悪ガキが痛そうに顔を歪めて立ち上がった。
「てめぇ、何しやがる!」
「王都一の美少女で大天使のルメルに酷いことをしようとしたお前は許さん!」
「お前には関係ないだろう!?」
「関係ある! 友達だし、友達が困っているのを見過ごせない! もう、ルメルに近づくな!」
「てめぇ……俺とやるのか?」
不遜な態度をして拳を握りしめる悪ガキ。なるほど、力で制しようというわけか。私よりも大きな体格だから、力を示せば言うことを聞くとでも思っていたのか。
やるからには、相手のことを知ることからだ。ふっふっふっ、私にはステータス化をしてくれるウィンドウがある。それで、悪ガキと私のステータスを見比べてやるわ!
【体力】55(年齢並み)
【魔力】18(才能なし)
【筋力】54(年齢並み)
【耐久】42(年齢並み)
【器用】54(年齢並み)
【敏捷】55(年齢並み)
【知力】483(賢明)
【運】239(普通)
これが、私のステータス。じゃあ、悪ガキのステータスは?
【体力】50(年齢並み)
【魔力】9(才能なし)
【筋力】51(年齢並み)
【耐久】45(年齢並み)
【器用】38(年齢並み)
【敏捷】41(年齢並み)
【知力】32(年齢並み)
【運】101(普通)
……ふっ、勝った。地道に日常クエストでステータスを上げていた、私の勝ちだ!
「言っておくが、お前は私に勝てん!」
「はぁ? 俺より小さい女の癖して!」
「そんな小さな女にお前が負けるんだよ!」
「こいつ!」
すると、悪ガキが殴りかかってきた。力は強そうだけど、遅い。その一撃をかわしてやると、その腕を掴んで、背負い投げをした。
ドシンッ! と悪ガキが背中を思いっきり床に叩きつけられた。
「……いってーーっ!」
「どうだ、参ったか!」
「く、くそっ!」
痛みでのたうち回っていたが、なんとか立ち上がってまた向かってくる。だから、私はそのたびに悪ガキを背負い投げして床に叩きつけた。
何度も何度も叩きつけていると、悪ガキの勢いがどんどん弱くなっていく。そして、周りで見ていたクラスメイトの目を気にしだした。
なんだか通知音が煩いけれど、今はそれを気にしている暇はない。
「ほらほら、どうした! こんな小さい女に負けて、悔しいだろう! 恥ずかしいだろう!」
「うぅ……」
「ルメルに迷惑をかけるな! もう二度と、強引な真似はするな!」
「わ、分かった……」
流石に悪ガキも何度も投げ飛ばされて自尊心を失ったみたいだ。よし、これならば、きっとルメルにちょっかいをかけてこなくなるだろう。
これで、ルメルも安心――。
「コラ、リオ! 何やってるの!」
あっ、やっば! 先生に見つかった!




